地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

台湾の入換罐(新入換機導入騒動に寄せて)

2015-03-05 12:00:00 | 台湾の鉄道


 今月に入り『Yahooニュース』をつらつら眺めていたところ、台湾鉄路管理局がディーゼル機関車の国際競争入札を実施したところ、何と落札したのは韓国とのことで、台鉄当局者が「韓国製は故障が多いので困った……さりとてこうなってしまった以上仕方がない。客を載せる車両ではないので心配するな」とコメントしている云々……といった話が、台湾メディアの報道をうけた中国メディアの報道を日本語に訳すという何とも面倒臭いルートで語られておりました。そこで、「何で台湾の話題をわざわざ中国メディア経由で読まなきゃいけねぇんだよ……」とブツクサ思いつつも、台湾とてWTOに加盟しており、大型の政府事業案件については競争入札をやらなければならないことからして、「嗚呼また韓国企業に当たっちゃったのね。御愁傷様……。とりあえず運用から30年以上経った老朽車を取り換えるとのことなので、R100型もそういえばそんなに古くなってしまったか……。いや待てよ、もっと古い約50年選手のR20も未だ現役ではないか。これはどういうこっちゃ?」と思いまして、念のためググッて台湾各メディアの関連記事を漁ってみました。すると……何と言うことはない。入換罐を世代交代させ、営業中の旅客列車を牽引するわけではないので、一般利用客は韓国製の故障を恐れる必要はないとのこと。



 しかし今度は、台湾メディアが関連画像としてアップした入換罐の写真に「あれれ……?」と首をひねらざるを得ませんでした。何故21世紀に入ってから新潟鉄工→トランシスで製造されたDHL100形がもう廃車にならざるを得ないのか……?? そこで推測してみますと、台鉄としては1960年代製の本線罐R20形、ならびに入換専用小型罐のS200形の現役機を廃車にするにあたり、とりあえずS200は全車廃車して代替新造、R20の一部の置換については電化の進展や客車列車の減少で余るR100を充て、それでも足りない貨物・入換運用分については新造車でまかなう……ということであって、新潟製で絶好調運転中のDHL100形を廃車にする気はさらさらないものと思われます。もしそんな、まだまだ新しい罐を僅か10数年で廃車にするならば、ミャンマーやフィリピンが黙って見ていないでしょう (フィリピンと台湾の関係は、昨年だか一昨年の漁船がらみの問題で冷えていますので、やっぱフィリピンは買わないか ^^;)。
 というわけで、入換罐の新規購入であれば、なるほど旅客列車での営業運転中に壊れることを一般利用客は恐れなくても良いですね……。メディアは、事情もよく知らない記者が伝言ゲームのような記事を書いたり転載したりして読者の耳目を惑わすのではなく (しかも今回の件はよりにもよって中国経由……)、よく事情を知っている記者がしっかりとした記事を書くようにするべきでしょう……。
 しかしともあれ、入換罐も縁の下の力持ち。入換中に突如壊れてもダイヤの維持に支障するわけですから、台鉄の関係者も戦々恐々でしょうか……。一応、エンジンや変速機は日本製で、ブレーキはドイツ製とのことで、核心部分の信頼性は多分大丈夫とのことですが、PP自強にしてもEMU500/600にしても、「現代精工と大宇重工が合併してロテムになっちゃったので、前の会社の時に造った車両のことなんてモルゲッソヨ♪ ケンチャナケンチャナ♪」とばかりにアフターケアを怠った連中にとんでもない煮え湯を飲まされた暗い過去があるわけですから、やっぱり肝心の仕上がりという点において不安なのでしょうなぁ……。


 スハ44風客車を冷房改造したSP2300形は、2008年頃に南台湾での運用を失って以来、一部が長年南廻線の加禄駅に放置されていたわけですが、台湾における復活蒸気ブームの高まりをうけて藍色客車が足りなくなり (?)、かつ冷房車を投入してサービス改善を図る必要もあることから、放置中のSP2300に白羽の矢が当たり、藍色に塗られて美しい姿に生まれ変わりました。SLに牽引されている光景はまさに一幅の名画ですね……。
 それを早くみてみたいと思いつつも、でもやっぱり個人的には、嘉義から高雄までガラッガラの冷気平快に乗った強烈で美しい記憶が忘れられないですね……。今でもこんな列車が残っていれば、日本人鉄ヲタが殺到するかも知れませんが、2000年代はまだまだ台湾に注目している日本人鉄ヲタは極めて少なかったはずで、台湾人鉄ヲタも冷気平快には無くなる直前まで注目していなかったはずですので、本当にまったりとした車内でした。そして、まさに昭和の駅そのものの嘉義駅に佇むこの編成美! 佳き時代が確かにそこにありました……。


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4 コメント

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Unknown (東急8695Fのブログ)
2015-03-07 18:04:50
こんばんは
S200形ってなんだか国鉄DD14形みたいですね・・・朱と白に塗ってラッセルヘッドをつけてみたいです(笑
台湾のSLって・・・確か日本のC57が輸出された車両でしたっけ?でしたらきっとこの客車も似合うことでしょう・・・
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Unknown (たま)
2015-03-09 15:59:25
高雄のS200も遂に先行きが見えてきたんですね。
彰化に1両だけ残っているS300の先行きも気になります。
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Unknown (おっとっと@ヤンゴン)
2015-03-10 00:24:15
>東急8695Fのブログさま
 こんばんは、コメントありがとうございます。
 台湾は1895年から1945年まで日本でしたので、C57は輸出ではなく、置き土産ということになりますね……。
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Unknown (おっとっと@ヤンゴン)
2015-03-10 00:36:53
>たまさま
 こんばんは、コメントありがとうございます~。
 S200は明らかに車齢が高くボロボロですので、むしろよく今まで養生したものだ……ということで、台鉄保守スタッフの水準の高さに頭が下がる思いです。
 彰化のS300は……恐らく彰化の扇形庫自体が梅小路のような動態保存センターを兼ねていると思いますので、S300も実は既に動態保存扱い (=今後も長生き) だったりするのかも知れないですね。
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