北朝鮮が、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れた。アメリカの大きな政策転換が、これを可能にした。ほんの少し前までは、アメリカは「テロ国家」とは交渉しないと、明言していた。ところが、北朝鮮が一貫して強く望んでいた、2国間協議に応じたのである。
これで、6者協議は単なる2国間の追認機関となってしまった。日本は、いい面の皮で北朝鮮は、今では全く日本を相手にしようとさえしない。当然のことである。2月合意の初期段階に入ったので、韓国は積極的な支援をするし、中国もロシアも陰でコソコソ支援する必要もなくなった。
北朝鮮が、麻薬やニセ札やたばこで稼いだりして不法に集めたとされる、バンコデルタ銀行の金にどの国も手を出したがらなかった。一つには、あの精巧なニセドルを制作する技術は北朝鮮になく、アメリカのマッチポンプでないかともうわさされていることが背景にあるようである。トンキン湾事件やイラクの大量破壊兵器のようにでっち上げは、アメリカの得意とするところである。アメリカの変質をその論拠とする見方もある。
いずれにしても、アメリカの変質で「拉致」一本やりの日本の阿部ボンには打つ手がなくなってしまった。現在起きている、北朝鮮 にかかわる問題のすべては「金正日体制」にある。今起きている動きのすべては、金正日体制に対して補完作用として働くことになる。
ここにきて、日本が望んでいた経済制裁など、跡形もなく吹っ飛んでしまった。対北朝鮮政策、具体的には拉致問題だけで、総理大臣になった安部ボンに打つ手はなくなった。具体的には、アメリカにすがる以外の策がないのであるが、そのアメリカの変質に経験不足の阿部ボンは右往左往するだけである。
北朝鮮は、国民を飢えさせながらも核開発によって、エネルギー支援は得られるしコメなどの食料はもらえるし、日本を半端もの扱いにすることができた。北朝鮮の核開発の本質はここにあるのである。