岸田文雄はウクライナのゼレンスキー大統領に厳島神社のしゃもじを贈ったとのことである。スポーツ観戦気分である。厳島神社の方々も、戦地に使われるとは思ってもみなかったと述べている。戦前には地元の兵士たちが奉納に来たことはあるが、「敵をメシとる」というゲン担ぎである。広島部隊が担いで奉納に行ったということでもある。岸田も銃を担いで前線に立つものでもない、その思いなら、和平提案など行うべきであろう。このようにしゃもじを当て激励することは、戦の拡大を促すことでもある。
中国のような和平への具体的な提案をするのが、平和憲法を持つ日本の役割ではないか。中国は今回の習近平のロシア訪問を、「和平の旅」と呼んでいる。中国提案の「我々の政治的立場」とする12項目の提案は、中国の海洋進出など、自らをも縛ることにもなる。中国が危険な仮想敵国でならなければならない日本にとって、中国が和平の提案している事実をなるべく伏せておきたいのである。権力の愛玩犬と堕したマスコミも報道しない。商社マンがスパイ活動で捕捉された方が大きなことのようだ。
政府が念願する中露の軍事同盟は発表されなかったが、世界情勢は劇的に変化して、「和平、発展、協力、ウィン・ウィン」というお題目は達成できず、多極化という国際的局面は加速的に形成される、とかなり的確な情勢分析を共有した。
その一方で岸田は、2月末に帰国した中国の孔鉉佑前駐日大使から雄の離任あいさつの申請があったが、これを却下している。 アメリカの意向を受けて戦禍の拡大を促すように、しゃもじ持って行った首脳と習近平の外交の落差を実感する。