アベノミクスがいい例であるが、「21世紀の資本論」を著したトマ・ピケティーが明らかにしたように、資本は成長した以上に賃金を労働者に払ことはないのである。必ず賛否両論を抱える経済理論ではなく、ピケティーは200年間の企業の成長と、経済成長と労働者の賃金の分析をした科学的実証なのである。
つまり資本は自らを巨大化することに腐心するばかりというのである。経済成長の伸び率を、資本の巨大化がこれを必ず上回っているのである。
一般社会にはトリクルダウン、すなわち大企業が利潤を上げればその利潤は、労働者に落ちてくる。だから政権は大企業を擁護するというのである。
日本のように一定の経済成長を成し遂げ、その結果高齢化と少子化が現れた。日本は経済成長が困難な時代を迎えているのににカンフル剤を注射してしかもデータまで改ざんして、虚偽の経済成長を演出させていた。
このアベノミクスと銘打った経済政策は、手っ取り早くより大きな資本の成長を手助けした。企業減税に止まらず、輸出製品には消費税の免除など、陰に陽に巨大企業を支援した。実質トヨタやソフトバンクは税金が免除されていると言って過言でない。企業の内部保留金は、GDPを上回る勢いで過去最高である。
企業減税は消費増税で穴埋めされ、庶民には増税の荒波と低賃金を雇用の不安定のトリプルパンチである。政策の外に置かれる形の貧困層は巨大化し、格差社会がより顕在化することになる。偏在化する政策は、貧困層から購買力も奪い、日本のGDPの70%が国内需要と言われていたが、今や55%まで落ち込んでしまった。
その一方、大企業あるいは富裕層はまるで社会主義体制下にあるようである。