関西電力高浜原子力発電所のプルサーマル発電用に、フランスで製造されたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を載せた輸送船が27日朝、同原発の専用港に到着した。日本では現在、一基の原発も稼働していない。
日本国民の70%は脱原発を望んでいる。こうした中で、いかにも唐突に思えるが、関西電力とフランスのアレバ社との契約上の問題と、関電はそっけない。関電は、高浜原発3号機の再稼働を、原子力規制員会に申請するというのである。
MOX燃料を使う計画は、原発推進計画の主体になる計画であった。然しいくら燃やしても、プルトニュウムは残っていく一方である。現在日本では、すでに44トンのプルトニュウムが残っている。放射性物質で最も危険なプルトニュウムである。
核兵器転用が可能な、プルトニュウムの存在は核不拡散の観点から問題である。少なくとも、イランや北朝鮮に対しては平和利用の指標にまでなっているプルトニュウムである。MOXの使用が危うい状態での輸入である。さらに、再処理場も稼働することがなく、貯まるだけのプルトニュウムである。
自民党は、国政選挙前に国民の顔色をうかがいながら言葉を濁しているが、原発の再稼働に程なく踏み切るつもりでいる。そうした政府の方針を見越して、関電は福島原発事故後やや遅れたが、MOX燃料をフランスから輸入したのである。
原発は事故の深刻さと、事故後の廃炉への困難さ、更には放射性廃棄物の処理すら決まっていない、極めて深刻な現実に直面している。
これほど多くの矛盾を抱えていることが判っていながら、原発再稼働・原発輸出・MOX燃料の輸入と、立て続けに再稼働への地ならしを着々と進める政府である。
電気事業法では27年間で積み上げる廃炉費用が負担となり、原子炉の寿命を40年間に延長し電力会社の負担を軽く(電力料金を下げる)した。例えばプルサーマル計画がある泊原発3号機は、2049年以前に廃炉にするとそれ以後の年数分が赤字として計上される。現実には、すでに多くの電力会社の廃炉積み立て費用が不足していると指摘されている。
政府によって一度は収束宣言された福島原発事故。しかし、原子炉から解き放たれた放射性物質は空中、地上、地下、海へと自由に動き回り、その影響は計り知れなく、事故対策は泥縄式で右往左往している。27年を経過したチェノブイリを見るまでもなく、根本対策にはほど遠く、トンネルの出口すら見えてこない。
すでに運転停止命令が出された「もんじゅ」。冷却剤のナトリウムの危険性を知りながらこの計画を中止できない。プルサーマル計画を断念した時点で、使用済み核燃料の行き場は失なわれ、すべての原発は否応なく停止せざるを得なくなる。
これを経営陣や投資家はひた隠しにし、政府は後押しをしている。「日本は世界一安全な原発の技術を提供できる」とトップセールスする原子炉に事故があったら、その責任は当然輸出国に向けられるだろう。
こんな無責任な原子力政策にまんまと国民は乗せられている。そりゃナイゼ!!