「獣医師は偏在しているが足りなくはない」と以前に本ブログで書いた。獣医師の資格を持つ者は、隔年毎農水省に決められた内容で、所在や現状を届けることが獣医師法で義務付けられている。それによれば、獣医師は3万9千人と思ったより少ない。ペット動物の診療に1万5200人(39%)、行政関係に9500人(24%)、産業動物に4300人(11%)、教育関係に5600人(14%)、無職が4600人(11%)となっている。職を持つ半数近い獣医師が、ペットの診療に関わっているとは驚いた。主たる業務という縛りがあるので、産業動物の診療とペットの双方を兼ねている獣医師も少なからずいるが数字には出てこない。
産業動物の目安に、最も診療が多く手間のかかる乳牛を基準にみれば、北海道では獣医師一人で1200頭ほど(根釧などの酪農地帯では1500頭を超えているし、開業では3000頭抱えている者もいる)であるが、府県では多いところで800頭である。現在は500頭を切っているかもしれない。これでは食ってゆけない。共済制度の中だけで見ると、府県の獣医さんは診療代の30%は往診料である。道東の酪農地帯では、せいぜい15%ほどである。酪農家の負担も大きい。府県の産業獣医師の減少は、畜産の減少と企業化によるものである。
汚く力仕事で昼夜のない産業動物に獣医師が来ないのは当たり前と言える。産業動物に基本的には、延命治療はない。そうしたことも若者の曳く材料のように見える。若い獣医師が都会の綺麗なところで診療できるペットに傾くのも、背景に児童とほぼ同数の犬猫を抱える日本の現状の当然の成り行きでもある。東京の知人が獣医師は、町内会に一人いる現状だと教えてくれた。
従って、獣医師を増やせば、小動物・ペットの診療の獣医師が増えるばかりである。教育の段階で職業選択の調整などできない。これからはもっと偏在することになる。ペット獣医師のこれ以上の過当競争を、現状に生きる獣医師で構成される獣医師会が望むわけない。偏差値の高くなった獣医学生たちのほとんどが都会出身者である。彼らに田舎暮らしは楽でもない。
そうした中で、「日本の獣医学部の質は落ちている」と、山本幸三地方創生担当相が述べたのである。獣医師の偏在については、大学も獣医師会も同様の見解を出している。数が足りないと言ったら論破された。そこで今度は質が落ちていると攻めてきた。根拠は不明瞭である。加計学園は1学年の定員が160名である。50年前に酪農学園に獣医学科が設けられたばかりの頃は、研究室が3つしかなかった。病理と解剖と微生物だったと思うが、教授は北大を定年退官された方と、追われた人だけであった。器具も資材も教室もない。数年は(ひょっとすれば15年ほど)募集定員に満たなかった。京都産業大学が獣医学科開設を諦めた一つに、教員スタッフが集められなかったことにある。加計学園は、教員スタッフをどのように集めるつもりなのだろう。
獣医師の質を上げるためには、恵まれた環境とは言えない8校の地方国立大学の獣医学科を、人的に物理的に(インフラなど)資金的に支援すれば事足りる。全国大学獣医学関係代表者協議会は、山本大臣に向けて意見書を提出した。
昨日文科省の再調査で発表した14の内部文書であるが、加計学園の客員教授で閑職時に面倒見てもらっていた萩生田光一内閣官房副長官が手書きで、加計学園へと大きくシフトを切らせた事実が判明した。獣医学科開設は4万人足らずの獣医師のどこが岩盤かもわからないまま、安倍晋三のお友達へ特段の配慮がなされたことだけが鮮明になったのである。
産業動物の目安に、最も診療が多く手間のかかる乳牛を基準にみれば、北海道では獣医師一人で1200頭ほど(根釧などの酪農地帯では1500頭を超えているし、開業では3000頭抱えている者もいる)であるが、府県では多いところで800頭である。現在は500頭を切っているかもしれない。これでは食ってゆけない。共済制度の中だけで見ると、府県の獣医さんは診療代の30%は往診料である。道東の酪農地帯では、せいぜい15%ほどである。酪農家の負担も大きい。府県の産業獣医師の減少は、畜産の減少と企業化によるものである。
汚く力仕事で昼夜のない産業動物に獣医師が来ないのは当たり前と言える。産業動物に基本的には、延命治療はない。そうしたことも若者の曳く材料のように見える。若い獣医師が都会の綺麗なところで診療できるペットに傾くのも、背景に児童とほぼ同数の犬猫を抱える日本の現状の当然の成り行きでもある。東京の知人が獣医師は、町内会に一人いる現状だと教えてくれた。
従って、獣医師を増やせば、小動物・ペットの診療の獣医師が増えるばかりである。教育の段階で職業選択の調整などできない。これからはもっと偏在することになる。ペット獣医師のこれ以上の過当競争を、現状に生きる獣医師で構成される獣医師会が望むわけない。偏差値の高くなった獣医学生たちのほとんどが都会出身者である。彼らに田舎暮らしは楽でもない。
そうした中で、「日本の獣医学部の質は落ちている」と、山本幸三地方創生担当相が述べたのである。獣医師の偏在については、大学も獣医師会も同様の見解を出している。数が足りないと言ったら論破された。そこで今度は質が落ちていると攻めてきた。根拠は不明瞭である。加計学園は1学年の定員が160名である。50年前に酪農学園に獣医学科が設けられたばかりの頃は、研究室が3つしかなかった。病理と解剖と微生物だったと思うが、教授は北大を定年退官された方と、追われた人だけであった。器具も資材も教室もない。数年は(ひょっとすれば15年ほど)募集定員に満たなかった。京都産業大学が獣医学科開設を諦めた一つに、教員スタッフが集められなかったことにある。加計学園は、教員スタッフをどのように集めるつもりなのだろう。
獣医師の質を上げるためには、恵まれた環境とは言えない8校の地方国立大学の獣医学科を、人的に物理的に(インフラなど)資金的に支援すれば事足りる。全国大学獣医学関係代表者協議会は、山本大臣に向けて意見書を提出した。
昨日文科省の再調査で発表した14の内部文書であるが、加計学園の客員教授で閑職時に面倒見てもらっていた萩生田光一内閣官房副長官が手書きで、加計学園へと大きくシフトを切らせた事実が判明した。獣医学科開設は4万人足らずの獣医師のどこが岩盤かもわからないまま、安倍晋三のお友達へ特段の配慮がなされたことだけが鮮明になったのである。
例えば、個人的には良心的で立派な医者や様々な専門職業家もいるのだろうが、もし彼らに相当の収入が得られないなら、いったいそのうちどれほどの者が本当にその立派さや職業人としての責務を果たすだろうか。だから、こんな場合にこそ「ミニマムインカム」制度などがあれば、貪欲金儲けとは無縁な本当の専門職業人も多く出現するのではなかろうか。
イデオロギなどとは無関係に、現在のように資本主義が極限に達してしまい、あらゆる仕事が金儲けの観点でしか捉えられない扱われないという状況が続く限り、家畜担当の獣医さんらの苦労もけっして解消されないだろう。
この国の悪徳政治屋や一部役人ら如く、自身の金儲けのためには平気で同胞庶民を騙し欺き、税金や国家資産を横領するような者だけが、おいしい思い味わい現実を渡るというのが、このとてつもない腐臭が漂い続ける日本の現実なのである。