アメリカのシカゴ市が設けていた銃の所持時禁止に関する条例が、6月28日憲法違反であると連邦最高裁で判断された。同様の判決は2008年に首都ワシントンが設けた銃規制に対しても下されている。これを受けて、リチャード・ディリー市長は、新たな銃規制法案を7月2日に市議会に提出し承認されている。
シカゴ議会が決議した新たな法案とは、一家に一丁の銃を認める、家庭内では世情補完すること、銃の登録をすること、更に銃を持つ場合は4時間の授業を受け1時間の射撃訓練指導を受けること、としている。我々日本からから見ると、至極当然のことである。
アメリカライフル協会などは、銃を持つことは自己防衛のために必要であると、新たな法案に対しても訴える方向でいる。安全は力でしかないというのであろうか。
現在アメリカでは、9000万人が約2億丁の銃を所持しているとされている。届け出の義務がないから当然推測の数字である。現実のはもっと多いかもしれない。更には、毎日80人の人が銃で死亡し、34人の人が殺人の対象になっている。だから、誰もが銃を所持するというのが、アメリカの自己防衛の思想である。
これはそっくり、アメリカの国家の防衛の基本となっている。銃を所持しないから攻撃されるのだ。自らを守るために銃を持つ。それを誰もが行っているのである。これがアメリカの基本思想としての安全保障の考え方である。
力の論理といえるが、シカゴのようなところが次々と出てくることを望むが、銃規制に反対の人たちが圧倒的に多いこともアメリカの現実を表している。
世間でも誤解されている方が非常に多いですが、無期懲役は「満期のない」刑罰であり、「期限を定めない自由刑」ではありません。「期限を定めない自由刑」は我が国では罪刑法定主義上許されないものとされています。
日本の無期懲役は仮釈放有り得る「相対的終身刑」であり、多くの国々の終身刑がこの刑罰に当たります。仮釈放のない
「絶対的終身刑」を採用している国はアメリカ、オーストラリア、中国と寧ろ少数派にあたります。
アジア圏では「満期のない」という「無期刑」という表現が使われており、欧米圏では「終生の」と言う意味の丹後が使われているだけで、「終身刑」と訳されるだけの話です。
無期懲役は刑法28条(判決時未成年の場合は少年法58条により7年)に依り、改悛の状があり、10年を過ぎると仮釈放の申請が可能とされていますが、あくまでも、仮釈放の申請が可能になるだけです。仮釈放されたとしても終生保護観察が続き、刑の執行が続きます。
昭和までは平均10数年で仮釈放がされていましたが、仮釈放中での再犯が相次いだ為に、近年は、仮釈放の運用が厳格化され、ここ数年は、仮釈放される者は1年一桁で平均服役期間25年以上と為っており、2007年にはなんと仮釈放は全国の無期囚1711人に対して3人しか行われず、しかも平均服役期間31年10ヶ月となっております。(法務省発行矯正統計年報依り)
有期刑の上限が20年から30年に引き伸ばされた事もあり、今後、無期囚の平均服役期間は更に長期化するとの見方もあります。
尚、死刑判決に対し、無期懲役になった事件は相当長く服役しないと仮釈放が認められない傾向にありますし、検察が「マル特無期事件」に指定した事件や、判決に於いて「仮釈放は慎重に」と処遇意見を付された事件は仮釈放は極めて厳しいようです。身元引受人が居ない場合も同じだそうです。
仮釈放申請可能期間を以て「無期懲役は10年で出てくる。」という話は実態にそぐわざるを得ないという他ありません。
長々となりましたが、無期懲役はそんなに甘い刑罰ではありません。特に、近年はかなり厳しくなっています。
因みに私は死刑存置論者ですが、死刑判決は限定して慎重に行うべきだと思っています。