21世紀を担うといわれている、BRICSの一つブラジルは大豆の生産が急速に伸びている。今やアメリカに次ぐ世界第2の大豆生産国になっている。
大豆を生産する多くの畑は、新しく開墾したところである。広大なアマゾン川流域の、熱帯雨林を伐採して巨大な大豆畑は作られている。大豆は主に輸出向けのものである。巨大資本が参入して、機械化された効率の良い畑にするために、道路が無制限に作られる。
もともと、所有地の50%以上を開墾してはならなかった法律も今は、20%までは許可されている。大資本へゆだねるブラジル政府の意向である。その20%すら現地の検査官が買収されて守られていないところも数多くある。
アマゾン流域の少数民族は、生活の場を破壊されて、昨年は人質事件などの衝突が絶え間ない。ガイチョに説得され土地を提供した小数民族も、土地代を使い果たすと自らの生活の場がなくなったことにやっと気がつく。消費生活になじめず、結局は最貧困層へ落ち着くことになる。
外貨を稼ぐ大豆によって、少数民族は生活の場ばかりでなく、民族の価値観や誇りも失くされたのである。更にアマゾンの熱帯雨林が、急速に破壊されているのである。
大豆はしょうゆの豆(soybean)といわれているように、もともとが東洋のわれわれが食していた食物である。大豆は高たんぱくで、畑の牛肉とまで言われるが、余分な脂肪もなく保存が可能なことと大量生産が可能であったことが、国際貿易に有利に働いたのであろう。
ルーラー政権は、人用に限らず家畜用としても大きな用途がある大豆を外貨獲得、国内経済、財政再建の切り札にしているのである。不法な伐採にも熱帯雨林の破壊にも目ではない。
が、ここにきて環境省が、待ったをかけている。各省庁を横に連携しあって、今一度開発のあり方を検討しているのである。世界の淡水のほとんどを抱くアマゾン川流域は、日本や中国の大豆の需要増加に比例して危機に瀕している。