テロ特措法が11月1日で期限切れになる。与党は、同法の延長は難しい状況にあるとして、延長に反対する野党を「国際貢献を考えていない」などと非難している。そこで、テロ対策特別措置法を検証してみたい。
<自衛隊派遣の法的根拠は>
与党が根拠としている、国連安保理決議1368条は、テロ行為一般に対する間接的な反対決議である。与党が、支援の根拠とするような、積極的、攻撃的な内容の決議ではない。
また、憲法9条を持つわが国にとって、自衛権の発動は最低限のものに限られるはずだ。しかし、海外に出掛けることがすでに集団的自衛権の拡大解釈である。
<活動の実態が明らかでない>
日本の給油活動にどのような効果があるのか。給油活動は本当にアフガニスタンの活動に限定されているのか、詳細は不明である。そもそも情報の開示がない。また、このことで、どれほどアフガニスタンが安定化したのかも明らかでない。7年近く経ち、掃討されたはずのタリバンが復活するなど、安定化にはほど遠い現状である。
<国際貢献の在り方について>
与党が言う国際貢献とは、洋上の給油活動だけしかないのか。国際貢献とは、そもそもの概念として平和に依拠する支援 であって、武力活動などでは決してない。タリバンの武力掃討の後に、ただちに国内産業の復興、安定をサポートする活動をすべきであった。それこそが、日本が最も得意とする分野である。武力支援活動はそうした芽すら潰してしまっている。それを反省し、今こそ真の国際貢献を模索すべきである。
<日米関係にどれほどの影響があるのか>
自民党が最も恐れているのが、アメリカの顔色である。金銭的にも、活動の効果もそれほどあるとは思えない活動に、自民党が固執するのは、アメリカ軍に協力し、活動したというアリバイが欲しいからに他ならない。金を出した湾岸戦争の教訓をここに見てとれる。「同盟国」と呼ぶほど、アメリカは日本に依拠するものがない。
与党は、民主党の意向を踏まえながら、新法を作成して給油活動を続けたいのだろうが、いまや「剛腕」が復活した、湾岸戦争時の自民党幹事長であった小沢一郎が、どのような変身を見せるかが見ものである。