そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

家畜にもいたわりを

2007-10-13 | 格差社会

「家畜福祉」をご存知であろうか?家畜を、畜産物を生産する機械ではなく、「生命を持った動物」として扱うべきだと言う考え方である。ヨーロッパを中心に、家畜に苦痛を与えない自由に生活できるようにすべきと、家畜福祉の概念が提唱されているのである。

最もわかりやすい例が、採卵鶏である。トリインフルエンザなどで騒がれている採卵鶏である、が彼女たちは、狭いケージの中で一生を終える。何段に組まれたケージには水と餌しか与えられず、羽根を伸ばすことも砂浴びすることも、歩くことさえできない状態である。

彼女たちは、効率良く卵を産むために改良された品種である。飢餓中枢も押えられ、ひたすら卵を産むのである。ケージそのものも、閉塞した無機質な空間である。成鶏になるまで、10回以上のワクチンPhotoを接種される。

彼女たちに、砂遊びをできる空間と水遊びできる設備を与えるように、EUの家畜福祉の基準は規定している。間もなく、ヨーロッパでは、ケージでの養鶏が禁止されることになる。

こうした考え方は、畜産以外の農業分野では「有機農業」と言われている。清算す土地に化学肥料や農薬を多量に投与することなく、生産性は落ちても本来の形で生産するとする考え方である。

当然その結果として、卵の価格に反映されることになる。つまり、家畜を単なる生産する機械と扱うことで、安価な卵を市場に出し続け、「物価の優等生」ともてはやされたのである。

豚も牛にも同じことが言えるようになる。乳牛で、大きな利潤をあげているのがフリーストールと言われる、閉塞されて空間で輸入穀物を大量に与えて、大量の牛乳を生産している農家である。経済効率最優先の結果である。個体管理がおろそかになるし、獣医師が忙しいばかりである。

こうした効率性優先の農業、畜産は不健康な生産物を市場に出すことになる。消費者の方々は、こうした生産過程の気を配ることなく、価格最優先で商品を購入する。

消費者は、非生産効率と思われる飼養方法に関心があるだろうが、現実にはそれ以上に価格を重視する。今一度家畜の扱われ方に関心を持っていただきたいものである。家畜福祉の考え方は、OIE(世界獣疫事務局)が統一した考え方を提案することになり、鶏はほぼ完了し乳牛についてもほどなく提案されることになる。

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1 コメント

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始めまして。今後の畜産にとって大切な事の為メー... (匿名です。)
2007-10-14 08:28:16
始めまして。今後の畜産にとって大切な事の為メールしました。共産党の紙議員が輸入飼料のカビ毒汚染問題を質問しましたが政府は問題無いと回答してます。しかし近年全国的に輸入飼料を食べた牛豚などの死亡や流死産被害等が多発してます。粗飼料給与割合の高い牛農家等では被害は少ないですが、濃厚飼料割合の高い牛農場や養豚等では高い事故率と成っています。地域やメーカーにより被害程度の差は有りますが、農水省や家畜保健所は病気被害で有ると生産者に流布してます。自分等や飼料メーカーの責任を回避する為に隠されています。畜産の危機です。
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