どうもおかしいと思っていた。田母神元航空幕僚長の論文であるが、私が見ても論文としての程度が低いのである。事実誤認などは右翼にとっては知ったことではないが、彼らは自説を述べるのである。内容はともかく文章構成としても、程度の低い論文がなぜ最優秀になったか疑問だった。
答は意外と簡単で、これを募集した人物にある。まずAPAグループと呼ばれる、ホテルなどを建設運営するグループの会長が、元谷外志雄という人物である。この男は、ホームページを戦闘機で飾るほどの戦争好きである。
この男は、阿倍晋三の後援会「安晋会」の副会長である。正真正銘の、右翼であり復古的国粋主義者である。元谷外志雄が自らの信念に沿った論文を募集したのである。
またAPAグループは、耐震偽装問題で業界が揺れに揺れた時に、なぜか生き残り平然と営業をしている唯一の会社である。
元谷外志雄が本を出版した時に、出版記念に田母神俊雄が挨拶に立っている。もちろん国粋主義者の本の出版記念である。
元谷外志雄が募集するのは自由であるが、自衛隊にそれを要請したらしい。少なくとも、航空自衛隊を中心とする自衛隊幹部が、多数応募した。幹部職員が10名その下の準幹部隊員が64名で計74名も応募している。
そんな関係で、航空自衛隊のトップの人物を最優秀作品にしたのである。
自説を唱えるのも構わないが、元谷外志雄という人物は結局は政界に関係を持ち、甘い汁を吸うゴロツキでしかないのである。古くからこの国にある構図である。
田母神だけでなく、阿倍晋三も国会で証人喚問して論文の内容について、意見を聞くべきではないか。