そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

一個50円以下の卵買わないように

2021-04-28 | アニマルウエルフェアー

鶏卵は物価の優等生と持ち上げられてきた。養鶏の実態を消費者にひた隠し、あからさまにすることは悪とばかりに、関係者も見て見ぬふりをしてきた結果である。
日本の畜産、その中でも養鶏とりわけ採卵鶏は最悪である。上の絵の左が日本で市場に出回っている卵の99.99%を生産する養鶏の実態である。生まれると同時に嘴を切断されて、明るさを制限し一週間を8日に偽装し、外界とは遮断され空気は強制的にファンで入れ替える。鶏たちはA4程度のケージの中で身動きは取れない中空で餌を食べ、季節も知らずに卵を産まされるだけである。
右は自由に飛び回り放牧している、友人の鶏たちである。行くと何しに来た、変な奴がいるぞーとみんなで寄ってくる、少し動くとコッコーとみんなで騒ぎながら逃げてゆく。餌の多くは近くの漁協から廃物を貰っている。冬期間の卵の黄身はほとんど白くなる。殻も薄くなり、そもそも羽喚期で卵を殆ど生まない。
ケージ養鶏の卵が安いのは、ほとんどがアメリカ産の穀物を給与しているからである。無関税で遺伝子組み換えで、化学肥料や農薬使用など肥培管理の表示義務もない穀物を、大量に鶏に与えて生産しているのである。物価の優等生はアメリカ穀物と哀れな鶏によって生まれた卵なのである。
こうした哀れな鶏たちの飼い方はアニマルウエルフェア(家畜福祉)に反するものである。欧米特にヨーロッパでは、このようン飼い方を反省するべく、アニマルウエルフェアを重視した飼い方への転換運動が盛んである。こうした日本の動きに危機感を持った養鶏業者が、吉川貴盛や西川公也農水大臣に、金を幾度も渡して思いとどまらせようとした事件は耳新しい。吉川は起訴されて議員辞職して、先日の補欠選挙で自民党は候補者裏建てられなかった。
それだってたまたま、河合案里の選挙違反事件があってその捜査過程で発覚したに過ぎない。陽毛業者はどれほど金をつぎ込んでいるかwからない。犠牲になっているのは鶏たちである。
ヨーロッパでは、諮問団体の欧州市民イニシアチブは140万人の署名を行い公聴会を開催し、ケージで動物(主に採卵鶏)を飼うの禁止しようと訴えている。市民レベルでケージ養鶏の禁止を促す活動は決定的で、鶏に留まることなくあらゆる動物を対象にした運動である。
かつては健康食品の象徴であった卵が、発病寸前の極めて不健康な鶏たちによって 生産されていることを消費者は知るべきである。一個50円以下の卵は買うべきではない。

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2 コメント

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上級国民しか食べられない (貧民)
2021-04-30 17:25:55
10個入りパック¥500円の卵を買える身分が羨ましいです。
それに菓子はおろか、加工製品に使われている卵のほうが遥かに多く消費されているのですが、そちらへの影響はどうお考えなのでしょうか。
記事の多くを賛同するの者ですが、エキセントリックな訴えは辟易とすることがあります。
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貧民様 (そりゃないよ獣医さん)
2021-04-30 22:06:00
結局いつかは見直される時が来ると思います。
穀物をヒトに与えて、飢餓をなくすることが何より優先しなければならない日が来ます。
アニマルライツセンターを検索すれば、養鶏場の体験記を見ることができます。実習生の短い期間の手記ですが、現実はもっとひどいのです。
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