そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

穀物は自国のためにある

2007-11-20 | 農業と食

アメリカの穀物は、日本のためにあると思っている人たちがこの国に溢れている。いつでも、安価な穀物を安定的に供給してくれる、とても親日的な国家アメリカを思い描いてるために、最近の穀物の動きを理解できないのだろう。

アメリカは、石油一辺倒のエネルギー政策を変えるために、コーンのバイオエタノール転換を2005年の年頭に、ブッシュが声明した。

01アメリカにとって、コーンは戦略物質であるばかりか、ここにきて投機の対象になっている。最もエネルギー効率が悪いばかりか、人と競合する植物をアメリカは選択した。コーンによるバイオエタノールを、その低公害性とCo2対策として選択するには、極めて非効率な植物である。

そのコーンの生産に、アメリカは膨大な補助金を出すことにした。2004年には、中西部に僅か30程度の蒸留所しかなかったが、すでに100を超えるばかりか、それぞれの工場が増設し生産量が驚異的に伸びている。001

このエタノールを担っているのが、家畜向けのコーンである。日本は、2000万トンほど、家畜用の穀物を輸入しているがその80%がアメリカのコーンであ る。

価格が高騰することは、従来もあったが今起きている現象は、日本に輸出する穀物がやがてなくなることである。2000万トンの穀物とは、日本人が食べている量とほぼ同量である。この輸入が、やがてなくなるのである。

日本の畜産業は、輸入穀物に大きく依存している。とりわけ養鶏ではほぼ100%の飼料となる穀物を輸入している。肉豚も肉牛も大差がない。やがて、日本の畜産物が高騰する時が目前に迫っている。ただし、日本の畜産が生き延びていればである。

こうした不安定な食糧事情は、これから一層加速することになる。食料の自給率を下げると言うことはこうしたことを意味しているのである。食料は自国のためにあるのであって、多国に売りつけるのは金銭の対価があるからである。食料を自給しない国家は独立国家ではない。

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