日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

私とMRI。

2015-02-11 17:52:41 | 家族
その日の記憶は消えない。

私と娘婿が担当医から説明を聞いていた光景。
交通事故があったのは火曜日の夕方。
その日は確か金曜日、夕方の時間でした。
CTの画像を見せられながら、
娘婿は外国人なこともあって、お医者さんは「英語で説明しましょうか」と聞いてくださったけれど、彼は日本語で大丈夫です、と答えて、ゆっくりと説明は始まった。

ここからの出血は、、、頭蓋低骨の骨折部分はまだふさがっていないから、髄液の漏れが見られます。ここの骨折部分からの漏れは鼻腔に通じていて、、、鼻の奥というのは、雑菌が蔓延しているものです。脳は密閉状態なので、外からの雑菌には抵抗力はありません。
なんという話が語られているのだろう。
事故本人は、視線定まらず状態から少しは落ち着いていたものの、まだまだ未定、だった。

CTは、数度撮ったらしい。
放射能被曝が気にかかる。

大丈夫ですか、今妊娠8週目の胎児は。

8週目の放射能検査は、いいことはありません。

MRIという検査もあるんですよね。
どうしてMRI検査にしてもらえないのですか?

今のお嬢さんにMRI検査できると思いますか。
頭を一定にしていることは、今の彼女には無理でしょう。

なんと、なんと、どうしよう。
妊娠中ということを承知でのCTの選択だから、腹部が被曝しないような配慮はなされているだろうけれど、でも、お医者さんは、胎児のことを思えば「よくないですね」と、慰めではなく事実を語る。

で、感染予防の点滴を続けますか、の質問。
点滴も胎児にとって、いいことではない、とも。

脳は外からの菌への防御力を持たないから、骨折部分からの雑菌により、娘は髄膜炎の恐れが、、、あるのです。

なんともはや。

娘婿と二人で真夏の夜道歩いたときの空気は忘れない。
意識が朦朧としている娘と8週目の胎児。

「抗生物質の点滴を続けますか」の質問に、娘婿は「ひとまず月曜まではお願いします」と返答したので、金曜から月曜までは、最善の治療を選択しているわけだから、、、とりあえず月曜まで様子をみよう、、、。
それしかなかった。

CT(微量の放射能被曝あり)よりもMRI(磁力を使った検査)を選択したかったけれど、担当の脳外科医から、頭を固定できなければ無理、とすげなく告げられた、あの一瞬、呆然と聞くよりほかなかったトキを想起します。

ずっと健康で、入院なんて出産時のほかは縁のない人生だったのに、警察からの電話が入ってからの急展開でした。

翌月、娘が回復に向かい始めた頃、テレビのニュースで、10代の子供の臓器移植で救われた人の話題を見ました。
はっと、思いました。よいニュースの裏側で、深い悲しみに暮れている家族がいることに、心が大揺れしました。

このハラハラした沈痛な幾月は、何をしていても頭から離れませんでした。
MRIという検査=娘の事故、と結びつく、重~い空気になるのです。

実は、もう一度、CTやMRIとかかわる、重~い、眠れない体験もしたのですけれどね。

娘婿は、強い前向きな判断をしてくれたので、無事出産、第2子も出産、そして第3子も、という流れです。

現代医学に感謝です。
そして、日本でよかった~、です。
氏名不詳の交通事故被害者にも、身内が到着する前に最善の治療をスタートしてくれるのですから。














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