私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

黒衣の刺客

2015-09-15 21:30:52 | 映画鑑賞
とにかく風を感じることが出来る映画だ。
夜。ろうそくの明かりで照らされる室内で過ごす登場人物の衣装が、部屋の外から入ってきたであろう風で揺れる。
衣装が揺れるのに合わせて、ろうそくの炎が揺れたことが画面にわずかに映った影から想像出来る。
風で衣装がたなびく。布の重さがわかるようなわずかな衣擦れの音がする。

同じように明かりを感じることの出来る映画でもある。
白樺の林ではその白樺の白い色が静かに浮かびあがる。
暗い室内のシーン、わずかな灯りしか感じられないシーンであるにも関わらず、衣装のわずかな色の違いや、顔色さえもはっきり感じられるほのかな明かりがそこにある。

衣擦れの音はもしや同時録音なんだろうか、光や陰の濃淡にどれほど心血を注いだんだろうか・・・・
そんなことばかりに気を取られていたせいなのか、それともそのゆったり流れる時間に、ついうっとりとし過ぎたのか、衣装にばかり目を奪われ、登場人物の顔を見ていなかったのか。

見終わった後、同行した友人たちと答え合わせをしてみるものの、とても自分がキチンと目を開けてみていたとは思えない。
ただ、そう思ったのは私だけではないと思いたい。
終わった後、館内のあちこちから、ため息が聞こえてきた。
いや、もしかしたら私のため息とは違って、感嘆のため息かもしれないが。。。。

私は、刺客として育てられた主人公の終わりのない旅路を描いた映画として理解・・・・・

女刺客のスー・チーは素敵だったが・・・・

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2003年にミレニアム・マンボを見た時の感想。
あの頃からスー・チーは監督のミューズだったのだろう。

左端に@愛される一瞬が彼女のすべてになる。というコピー。真ん中にはミレニアム・マンボというカタカナが千曼嬉波という漢字で囲まれている。その下には
薄暗い灯りの中で、棚に並べられている酒瓶の数々。そしてその前でまるで月明かりに照らされているかのように蒼く浮かび上がるスー・チーの横顔。
いいポスターだと思う。
そしてこの映画は100分かけてこのポスターの説明をしているかのような映画だ。
タバコを吸う彼女。水割りを飲む彼女。何度も何度も繰り返される彼女の日常。夜と昼が逆転したような毎日を送りながらも若さからかしなやかさを失わない彼女の姿。
まとわりつくような熱気は感じられず、ふわふわとした毎日。スー・チーファンであれば100分も長くないかもしれない。


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