映画は、宇宙に向かう、月に向かうという大きなミッションに向き合いながらも、必要以上に気持ちを煽り立てることなく、非常にゆっくり進む。
繰り返される訓練、失敗、再びの挑戦。それらはどこが修行や鍛錬という言葉を思い起こさせるものがある。
2時間半という長い時間、アームストロングという人物と向き合ったはずなのに、彼の明確なキャラクターが良く分からない。
複雑なものを内に抱えていた人なのだろうという事が分かるだけだ。
ミッションを終えてはちきれるような笑顔を見せるでもない夫婦の姿に、ミッションが二人の上に落とした大きな影を考える。
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アポロ11号月着陸の事は小さかったけれど、よく覚えている。
テレビ中継を見たいとせがむ私に、母は「夜は寝る時間なのよ」と取り合ってくれず、「宇宙には凄いことがたくさんある」と幼稚園で聞いたばかりの知識を披露する私に、「まずは自分の身の回りの事をちゃんとしなさい」と、相手にしてもくれなかった。両親も「月の事より明日の仕事」などと言い、テレビは見ていなかったと思う。
字幕監修が毛利衛さんだった。自分が宇宙にいかれた際との設備の違いをどんな思いで見られたのだろうか・・・
追記:
アポロの月面着陸の日、プレイバックTVガイドによると、各局が特別番組を編成する中で、東京12チャンネルは、夕方に「忍者部隊月光」20時台にはプロレス、21時台は当時人気だったプレイガールそして22時台に「アポロ11号・ホモ・サピエンス月を征服」というアポロの特番を放送していたとの事。ぶれない独自路線は昔からだったのだ。
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