勤務先のビルは靖国通りに面しているものの、私の部署がある部屋は奥まっており、靖国神社の裏手がわずかに見えるだけだ。
別の部署は、通りに面した窓が額縁のようになって、一面の桜を楽しむ事が出来る。
1年に一度の素晴らしい借景だ。
昼時、殆どのメンバーがお昼に出払っている頃を見計らって見学させてもらう。
「普段は窓の所にコピー用紙だの使わない椅子だのを置いているのだけれど、この時期だけは、キレイに片づけています」との事だった。
窓枠を入れて一幅の絵のように写してみたかったが、そうすると各種備品が映りこんでしまい、イッキに雰囲気が崩れてしまう。
窓枠を写さず、ガラス越しではあるが、目線の高さにある満開の桜の写真を撮る。一年に一度、わずか1週間程度の贅沢だ。
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窓から下を見ると、鮮やかな袴姿の女子大生が靖国神社の方に向かって歩いているのが見えた。晴れた日に卒業式でよかった・・・