「あら 二重瞼にしたのね」という母の言葉にショックを受けるミジョ。長い間、本当の母の事を何度も考えた彼女と違い、何度も罪を重ねて刑務所に入っている彼女の母は娘の事を思い出す回数も少なかったのだろう。娘に会いたいと心から思う事が少なかったであろう彼女にとっては、ああいう言葉しか出てこなかったのだろう。
そんな彼女を支えるのは恋人であるソヌとチャニョンとジュヒだ。
二人よりも早くに旅立つ事になるチャニョンが少しずつ準備を始める姿を見るのはやはり辛い。自分にとって最後であるだろう母の誕生日の準備したにも関わらず、体調を崩してケーキを受け取れなかったために、閉店後のケーキ店のショーウインドーを壊してケーキを取ろうとする3人。とにかく楽しい事も3人で、辛い事も3人で分け合うという気持ちが伝わってくるが、不安までも3人で一緒に分け合うのだ。
一人先に旅立つチャニョンは残った二人の事を心配し、残る二人は、チャニョンが旅立った後、自分達は以前のままでいられるかどうかを悩む。特にミジョの母親がミジョにお金の無心をするような素振りを見せたことで不安を覚えるジュヒ。
自分の母がミジョの母の存在を彼女に教えた事で、トラブルになったと皆が思っているのではないかと疑心暗鬼になる彼女。更に何かあっても自分だけが一番最後に知らされるのではないかと、疎外感を大きくする彼女。3人それぞれのキャラクターがあっての友人同士だったはずなのに、一つバランスが崩れる事でどんな事でも不安になるのだ。このあたりは、付き合いが深ければ深い程の悩みだろう・・・(水臭い・・・という感情が激しいとでも言ったらいいのだろうか・・・)
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演技のトレーナーでなく、自らも演技者として映画に出演する事が叶うチャニョンだが、その映画の公開時まで自分が生きているかどうかも分からない彼女。自分と一緒に居る事を選んでくれた芸能プロダクションの代表である彼と一緒に、自分が入るであろうお墓の予約まで準備する彼女。
チャニョンにとっては残された者の事を考え準備をしていても、完璧に準備など出来るはずもない。見守る者ミジョとジュヒにとっても後悔の無い別れの準備などあるはずもないのだ。
次という機会がどんどんとなくなっていく事を、なんとか気づかないようにしている3人の様子が切ない。