60歳を超え、人生の終わりが遠くに見えてくるも、「まだ出来る事はある。やり残した事をやる気力があるうちにやり遂げたい事がある」と、成し遂げる事が出来なかったキューバ~フロリダ間の164キロを泳ぎ切る事を目標に掲げるダイアナ・ナイアド。
スポーツ選手ではあったものの、水泳の知識のない友人のボニーをコーチとして迎え、無理と思われる挑戦に果敢に立ち向かうダイアナ。
自分にはそれを達成するだけの力があり、それを証明したいと、自分の信念だけで周りを回りを巻き込む凄いパワー。
やり遂げたい事を見つけた彼女の人生は幸せでもあり、でも辛いものでもあると思う。
出来ないのではなくやらないだけと思うその精神は眩しいものがあるが、周りがそれを受け入れられない事を理解出来ない事、自分自身が壊れる事も厭わず挑戦する事を諦める事が出来ない事は、ある意味辛く苦しい人生でもある。
諦めない精神は称えられるものではあるが、出来ない事を認められずに常に何かを渇望するその思いは、達成できなかった時の喪失感の事を考えると、乗り越えられない程大きいはずだからだ。
しかし、そんな周りを見ない彼女の不遜な行動も丁寧に見つめ、サポートメンバーがいてこその挑戦という様子をきっちり描く。
金銭的な報酬はなく、ただ達成したいという思いから挑戦し続ける姿はスポーツの真骨頂ともいえるものなのだろう。ダイアナの思いと周りにいるサポートメンバーのプロらしい姿に、人生の大切な物はなんなのかを考える。
ダイアナの挑戦を横でサポートするボニーを演じるのはジョディ・フォスター。
ダイアナ・ナイアドの挑戦を描いた映画でもあるが、それを横で支えるボニーの人生を描いた映画でもある。ボニーの姿がダイアナと同じように眩しい。