私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

82年生まれ、キム・ジヨン

2020-10-11 19:22:39 | 映画鑑賞

結婚、出産を機に退職したジヨン。夫は優しく子どもは可愛い。しかし家事と育児に追われ、少しずつ毎日の生活に疲れを感じていく彼女。

誰もが感じる疲れかもしれない。彼女だけが感じる疲れではないかもしれない。しかし少しずつ彼女の中で何かが崩れ始め、それは時として彼女自身の言葉でなく、誰かの言葉によって語られるようになるのだ。自分の娘に里帰りとさせて欲しいと嫁ぎ先の姑にお願いする実家の母として・・・疲れたジヨンをねぎらうようにと夫に助言する夫婦共通の友人の言葉として・・・・

妻の言葉に驚き、混乱する夫・・夫は優しく理解がある。夫には何の落ち度もない。廻りの人間も彼女を憎んで攻撃するわけでもない。しかしどこからな何か我慢を強いるような見えない力を感じ、その力に抗いながらも、折り合いをつけていたはずの彼女。しかしそのバランスが崩れてしまった時、自分でない誰かの言葉で自分自身を守ろうとするのだ。

****

原作と違うのは、ジヨンが掛かる医師が男性から女性になっていることだ。原作では最後の最後に現実の大きな壁にやや言葉を失ったが、映画は希望を感じさせる。映画の中でジヨンの先輩が独立して作る会社の名前が@春の風。そしてこの映画もプロダクション@春の風映画社(ポンパラムヨンファサ)の創立作品だ。希望を感じさせるラストになっていることは当然の事かもしれない。

 

母親役のキム・ミギョンの演技に涙・・・・

 

****以下 原作本を読んだ時の感想*****

1982年生まれの女性、キム・ジヨン。

不本意な差別と認識する前から、現実として立ちはだかる壁の数々。女性として生まれたことだけが理由の壁を、不思議に不本意に思いながらも、やり過ごしていくしかない日々。
母も家族も労ってはくれるものの、解決策を示してくれるわけでもない。選択肢を増やしてくれるわけでもない。
壁など気にしないかのように過ごす日々の中で、心の中にたまった澱が、ある時堰を切ってあふれ出す。ある時は実母の声で、ある時は友人の声で・・・・自己防衛とも思える、他者の言葉で自分の思いを伝えようとする様子に胸が詰まる。

本は明確は解決策を示してはくれない。話は現在形で続いていくかのようだ。

******

小説というより、新聞の特集記事を読んでいるような気分になる。「プライバシー保護のため詳細は少し変えていますが、ほぼ事実です。」というコメントがどこかに見えるような気がする。

 

*****

この本を読みながら、私も忘れたつもりになっていた昔の色々な事を思い出した。

「女の子なのに男勝りで困ります」と書かれた小学校の通信簿の言葉。
「点数は、女性は一律7掛けにするから。男性は項目によって加点があります。」と注意を受けながら、作成した人事評価一覧表。
「30過ぎても結婚出来ず、子どもも生まないで仕事をしている女の人の事を、本当は惨めだと思っているんだよ。皆、遠慮して本当の事は言わないから・・・・僕は君の事を思って教えてあげているんだ」と真顔で私に忠告してくれた知人男性。

 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿