熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

時事雑感:アメリカの迷走に思う

2025年03月04日 | 政治・経済・社会
   トランプ・ゼレンスキー両大統領の激しい口論が衆目の注視するところとなり、国際情勢が一気に不透明感を増した。
   昨日、日経の朝刊「春秋」で、
   ”よくぞ言った。・・・大国風をふかせて恫喝する相手に、じっと耐えつつ一歩も引かないゼレンスキー大統領の姿に胸のすく思いがした。” ”助けてやっているのだから礼を言え。小国の客人を見下して隠そうともしない。”と報じた。
   ”祖国を背負うゼレンスキー氏の言葉には、重みがある。多大な犠牲を払って侵略者と戦ってきたのだ。後に禍根を残すうわべだけの合意など出来るはずがない。”とも述べている。
   私もそう思うし、世界中の殆どの良識派の考え方もそうであろうと思う。
   ワシントン・ポストは社説で、トランプ大統領のゼレンスキー大統領に対する振る舞いは、映画「ゴッドファーザー」の主人公でマフィアのボスである「ドン・コルレオーネのようだった」と批判した。 と言うから、アメリカにも良識があるのである。
   アメリカの凋落の兆しを思わせるような、アメリカの迷走ぶりが世界を震撼させた。

   トランプ大統領の頭から欠落しているのは、ロシアが、国際法など国際秩序を無視して独立国家のウクライナに一方的に軍事侵攻して、破壊と殺戮を重ねて蹂躙し続けているという考えられないような極悪非道の国際犯罪を侵していると言う認識であり、更に、ウクライナが、アメリカが建国以来国是として確立して育み続けてきた自由民主主義を死守するために矢面に立って必死になってロシアに対峙している厳粛なる事実の理解が皆無だと言うことである。
   この本源的な事件の根幹、この価値判断さえできる良識人であれば、ウクライナのレアアースを人質に取って、交換に軍事援助を継続するという姑息極まりない取引をしてMAGAを押し通そうとした筈はないし、決裂で成果をアピールすべきセレモニーが吹っ飛んでしまい、会談でメンツをつぶされたとして、ウクライナへの援助を中断するというガキの喧嘩にも等しき愚策に及ぶ筈もなかった。

   アメリカは、既に、前世紀の後半から、経済力や国力の低下によって、国際的な覇権的地位を喪失して、世界の警察官としての役割を放棄して、パクス・アメリカーナの時代が、過ぎ去ってしまっている。
   その上に、今回のトランプ・ゼレンスキー会談決裂が、さらに追い打ちをかけて、為政者の姿や対応の稚拙さが、アメリカが、もはや、世界のリーダーでも世界平和の導き手でもなく、その器にも値しないことを、白日の下に晒してしまったのである。

   さて、アメリカの変節によって、同盟国であろうと何であろうと、アメリカを信じて付き合えなくなった。
   すべて、アメリカに頼れない、アメリカ抜きで考えよ、自力で生きて行けと言うことである。
   MAGAと同じで、MJGA、すなわち、日本第一で、日本は自分自身で自分の国の安全と平和を守らなければならなくなった。
   「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」ただけでは、 国家の存続さえ危うい。当然だが、現実である。
   どうするか、それが問題である。
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