熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

英国ロイヤル・オペラ ヴェルディ:歌劇《オテロ》1992年 ショルティ80歳 

2025年03月02日 | クラシック音楽・オペラ
    シェイクスピアの四大悲劇 の最高傑作「オセロー」を、ヴェルディが73歳の時に書き上げた後期オペラ歌劇《オテロ》。1992年10月、ショルティ80歳の誕生日を記念して催された特別公演で、ドミンゴ、テ・カナワ、レイフェルカスという最高のキャストによる極め付き公演のDVDを取得して観た。
   丁度この時にロンドンに住んでいて、私自身、この舞台を、ロイヤル・オペラ・ハウスで、実際に鑑賞したので、特別な思い入れがある。
   大変な人気で、ロイヤル・オペラの定期会員権保持者の特権を活用して不可能に近かったチケットを取得した。確か、280ポンドで、日本円で6万円でかなり高かったが、当時は、パバロッティでもそうであった。BBCで放映されたのだが、チャールズ・ダイアナ両殿下のご臨席舞台であり、深刻なシェイクスピアの悲劇でありながら、会場の熱気は凄くて、それに、聴衆も久しぶりのお祭り気分で華やいでいた。 

指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ 
演出:エリシャ・モシンスキー
 出演:プラシド・ドミンゴ(オテロ)/キリ・テ・カナワ(デズデーモナ)/セルゲイ・レイフェルカス(ヤーゴ)/ロビン・レガーテ(カッシオ)/ロデリック・アール(モンターノ)/ラモン・レメディオス(ロデリーゴ)/クレア・ポウエル(エミーリア)他
演奏:コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団、合唱団  







   ヴェニスの軍人キプロスの指揮官オセローは、相思相愛のデズデモーナと結婚。オセローが、キャシオーを副官にしたので、旗手イアーゴーは恨んで復讐を策する。キャシオーがデズデモーナと密通していると、オセローに讒言して、嘘の真実味を増幅するために、オセローがデズデモーナに贈ったハンカチを盗み、キャシオーに持たせてオセローを煽る。イアーゴーの作り話を完全に信じ切ったオセローは、デズデモーナの不実に茫然自失嫉妬に苦しみ怒り狂う。イアーゴーにキャシオーを殺すように命じ、自らは必死に哀願するデズデモーナを寝室で絞殺。しかし、イアーゴーの妻のエミリアが、ハンカチを盗んだのは夫であることを告白して悪事が露見、イアーゴーはエミリアを刺し殺して逃げる。オセローはデズデモーナに最後の接吻をして自害して果てる。
   性根邪悪の極悪人イアーゴーの巧みな讒言作り話に、徹底的に煽られ翻弄されて、どんどん正気を失って崩れて行くオセローは哀れだが、本来この戯曲のタイトルが、「イアーゴー」であったというのも分かるような気がする。

   ショルティの神業に近いバトンに鼓舞されて、ドミンゴのオテロとキリ・テ・カナワのデズデーモナの緊迫した愛憎劇が観客を魅了し続けて、憎々しさの際立つ レイフェルカスのヤーゴが、悲劇を煽って2人を奈落に突き落とす。
   死を前にして切々と歌うキリ・テ・カナワのデズデーモナの「柳の歌」の素晴らしさに息をのむ。
   当時、ロイヤル・オペラやMETで、ドミンゴやキリ・テ・カナワを聴いていて、このブログにも書いているので、蛇足は避けるが、とにかく、歴史に残る凄いオペラの世界であった。


   「オテロ」の観劇経験は、リカルド・ムーティ指揮のミラノ・スカラ座の「オテロ」の舞台を日本で二回観た記憶があり、印象深いのは、2005年のロンドン旅でのロイヤル・オペラのルネ・フレミングのデズデモーナの「オテロ」だが、ほかにも結構見ている。
   残念だったのは、1993年のケンウッドのロイヤル・オペラの野外公演 の「オテロ」で、大雨で、憧れのリッチャレッリのデズデモーナの「柳の歌」を聴きそびれたこと。

   さて、指揮者のショルティであるが、この年、ロンドン交響楽団も、ショルティの傘寿の記念公演を催して、ショスタコーヴィッチの交響曲第10番を演奏 した。
   また、ショルティは、ロンドンでも、創立150周年を迎えたウィーン・フィル記念公演を指揮して、メンデルスゾーン「イタリア交響曲」とショスタコーヴィッチ交響曲第5番を演奏し、アンコールに「こうもり序曲」を鑑賞、
   最初にショルティを聴いたのは、ウィーン・フィルを指揮した1970年代の京都文化会館での演奏会なのだが、ロンドンを筆頭に8年間ヨーロッパに居たので、ショルティのコンサートには結構出かけていて、このブログでも度々取り上げている。ハイティンクと共に一番聴いた指揮者かもしれない。
   

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 病院の待ち時間の長さどうに... | トップ | 時事雑感:アメリカの迷走に思う »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

クラシック音楽・オペラ」カテゴリの最新記事