颱風15号が、関東直撃と言う今日、まだ、海上遠くにあり、朝は晴天で殆ど無風状態だったので、多少心配しながら、都響の定期公演を聴きに東京の池袋の芸術劇場に向かった。
「日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念」「渡邉暁雄生誕100年記念」と銘打った公演で、プログラムは、次の通りで、非常にポピュラーで、素晴らしい曲揃いの所為か、珍しくチケットは完売とかで、非常に湧いていた。
指揮/大野和士
ピアノ/ホアキン・アチュカロ
シベリウス:トゥオネラの白鳥 op.22-2
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op.43
アンコール(ピアノ)アレクサンドル・スクリャービン「左手のための小品 ノクターンop.9」
トゥオネラの白鳥は、フィンランディとカップリングされたレコードを買って、最初に感動したシベリウスの音楽で、
白鳥を表現する素晴らしく美しいイングリッシュ・ホルンが、悲しく抒情的な情緒連綿たる旋律を奏で続けると、チェロ独奏が低音から高音へと暗いモチーフを奏でて呼応する、
大野和士は、この曲の時だけ、タクトを持たずに、両手を美しく優雅に躍らせながら指揮を続けて、天国のようなサウンドを紡ぎ出す。
ラフマニノフのピアノ協奏曲は、これまで、コンサートで何度聴いたか、美しくて非常にダイナミックな曲で、チャイコフスキーとは一寸ニュアンスの違ったロシアのピアノ協奏曲で、私は、この方が好きである。
ホアキン・アチュカロは、サイモン・ラトルから「ピアノからこんな音を引き出せる音楽家はめったにいない」と評されたスペインを代表する86歳の巨匠ピアニストだと言うことだが、悠揚迫らぬ骨太でダイナミックなラフマニノフを披露したかと思ったら、アンコールで弾いたのは、繊細で病的だと言われているスクリャービンの「左手のための小品 ノクターンop.9」、
ロシアのピアノ曲を典型的なラテン人のアチュカロが、実に情緒たっぷりに歌わせて感動させたと言うのも驚きだが、なぜか、あのパステルナークの映画「ドクトル・ジバゴ」の凍り付いたシベリアの大地の映像を、スペインのシエラ・ネバダ山脈で撮ったと言うのを思い出して、何となく納得した。
アチュカロは、聴衆の熱狂的な拍手に応えてピアノの前に戻って、椅子をやや右側に引いて、右手を椅子の右角に置いて座り、足を少し左側に流し気味に傾けてペダルを踏み、静かに、左手で、ピアノを弾き始めた。
初めて聞いたのだが、結構バリエーションのある奇麗な曲で、アンコールとしては、比較的長い時間を楽しませてくれた。
交響曲第2番 ニ長調を聴くと、いつも、愛国心の強いシベリウスが、上空を侵犯して飛来するロシア空軍機に向かって、自動小銃を撃ち続けたと言うのを思い出す。
今でこそ、世界最高峰の文化国家として勇名を馳せているフィンランドだが、隣接する大国ロシアに苦しめられていた歴史を持つ。
私が、経団連の経済使節団に参加して訪れた時には、ロシア経済に頼っていたフィンランドが、ソ連の崩壊で、一気に経済が悪化して、必死に、まだ、初期の発展途上国である中国にアプローチするなど、模索していた。
まだ、ノキアが快進撃を始める前だったのだが、その後の努力で、今や、世界最高の知的教育水準を誇り、幸福度No.1、
私は、その後個人旅行でもう一度フィンランドを訪れているが、ムーミンとサンタクロースの国、森と泉に囲まれた美しい国である。
さて、大野和士の交響曲第2番 ニ長調、
途轍もなく高揚したダイナミックな終曲にタクトを下した大野和士、やや背を後ろに反らせて棒立ち、頬を膨らませて一気に吐き出し、感動の極致、
指揮台を下りて、聴衆に向かった時には、穏やかな表情に戻っていたが、全力投球した会心の出来であったのであろう。
盛大な拍手と「ブラヴォー」。
「日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念」「渡邉暁雄生誕100年記念」と銘打った公演で、プログラムは、次の通りで、非常にポピュラーで、素晴らしい曲揃いの所為か、珍しくチケットは完売とかで、非常に湧いていた。
指揮/大野和士
ピアノ/ホアキン・アチュカロ
シベリウス:トゥオネラの白鳥 op.22-2
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op.43
アンコール(ピアノ)アレクサンドル・スクリャービン「左手のための小品 ノクターンop.9」
トゥオネラの白鳥は、フィンランディとカップリングされたレコードを買って、最初に感動したシベリウスの音楽で、
白鳥を表現する素晴らしく美しいイングリッシュ・ホルンが、悲しく抒情的な情緒連綿たる旋律を奏で続けると、チェロ独奏が低音から高音へと暗いモチーフを奏でて呼応する、
大野和士は、この曲の時だけ、タクトを持たずに、両手を美しく優雅に躍らせながら指揮を続けて、天国のようなサウンドを紡ぎ出す。
ラフマニノフのピアノ協奏曲は、これまで、コンサートで何度聴いたか、美しくて非常にダイナミックな曲で、チャイコフスキーとは一寸ニュアンスの違ったロシアのピアノ協奏曲で、私は、この方が好きである。
ホアキン・アチュカロは、サイモン・ラトルから「ピアノからこんな音を引き出せる音楽家はめったにいない」と評されたスペインを代表する86歳の巨匠ピアニストだと言うことだが、悠揚迫らぬ骨太でダイナミックなラフマニノフを披露したかと思ったら、アンコールで弾いたのは、繊細で病的だと言われているスクリャービンの「左手のための小品 ノクターンop.9」、
ロシアのピアノ曲を典型的なラテン人のアチュカロが、実に情緒たっぷりに歌わせて感動させたと言うのも驚きだが、なぜか、あのパステルナークの映画「ドクトル・ジバゴ」の凍り付いたシベリアの大地の映像を、スペインのシエラ・ネバダ山脈で撮ったと言うのを思い出して、何となく納得した。
アチュカロは、聴衆の熱狂的な拍手に応えてピアノの前に戻って、椅子をやや右側に引いて、右手を椅子の右角に置いて座り、足を少し左側に流し気味に傾けてペダルを踏み、静かに、左手で、ピアノを弾き始めた。
初めて聞いたのだが、結構バリエーションのある奇麗な曲で、アンコールとしては、比較的長い時間を楽しませてくれた。
交響曲第2番 ニ長調を聴くと、いつも、愛国心の強いシベリウスが、上空を侵犯して飛来するロシア空軍機に向かって、自動小銃を撃ち続けたと言うのを思い出す。
今でこそ、世界最高峰の文化国家として勇名を馳せているフィンランドだが、隣接する大国ロシアに苦しめられていた歴史を持つ。
私が、経団連の経済使節団に参加して訪れた時には、ロシア経済に頼っていたフィンランドが、ソ連の崩壊で、一気に経済が悪化して、必死に、まだ、初期の発展途上国である中国にアプローチするなど、模索していた。
まだ、ノキアが快進撃を始める前だったのだが、その後の努力で、今や、世界最高の知的教育水準を誇り、幸福度No.1、
私は、その後個人旅行でもう一度フィンランドを訪れているが、ムーミンとサンタクロースの国、森と泉に囲まれた美しい国である。
さて、大野和士の交響曲第2番 ニ長調、
途轍もなく高揚したダイナミックな終曲にタクトを下した大野和士、やや背を後ろに反らせて棒立ち、頬を膨らませて一気に吐き出し、感動の極致、
指揮台を下りて、聴衆に向かった時には、穏やかな表情に戻っていたが、全力投球した会心の出来であったのであろう。
盛大な拍手と「ブラヴォー」。