
日本国内の定期長距離夜行列車は次々に運行を終了し、これからは新幹線でなければJR各社ごとの超豪華寝台クルーズ列車が一般の注目を広く集めようという世の流れでありますが、個人的に各社の完成車や構想図を眼にするにつけ、外観・内装のいずれか、あるいは両方にデザイナーのクセがありすぎて何だかなぁと思うものであります。まぁ乗るなら、内装にクセがなく、明確な高級感を誰にでも提示するような車両ですが、その前に……そういう列車は一匹狼のヲタには用はございませんってか、スミマセンねぇ (鬱爆)。
この点、超豪華列車の老舗・オリエント急行は万事ぬかりがないと思います。一生に一度は乗ってみたいと思わせる何かが確かにありますし、普段は地味な車両の模型ばかり漁っている私でも、KATOのオリ急N模型は持っていたりするのです (笑)。そんなオリエント急行がタイ・マレーシアのメーターゲージ上で運行しているのが、イースタン・オリエント急行!
この列車の詳細は公式HPをご覧頂ければと存じますが、基本的にはバンコクとジョホールバルの間を、途中泰緬鉄道などに寄り道しながら3~4日かけて移動するようで、したがってバンコク界隈では8~9日に一度目撃できれば十分御の字という極めてレアな列車です。昨年ヤンゴン訪問ついでバンコク寄り道の際に日帰りで泰緬鉄道鈍行列車難行苦行をした際、途中でこの列車とすれ違い、思わず目の玉が飛び出そうなほどの衝撃を覚えたのみならず、彼我の明らかすぎる階級格差を痛感した次第……(笑)。

というわけで、こんな列車はすれ違うだけでも十分にレアで宝くじ的イベントであるため、スケジュールを公式HPで調べて待ち構えるという異でない限り、撮影など夢のまた夢。況んや、そもそもダイヤ乱れはタイ国鉄の名物。全然来なくて途方に暮れることも珍しくはないのですから、事前に調べて炎天下待つなんてことはリスクが大きすぎます。したがって、そもそもこの列車を狙おうという発想自体、職業写真家でもない限り湧きません (^^;
ところが何と……全く期待していないときに限って奇跡は起こる!! 何と、夕暮れ近くのド順光の中、バンコクへ向け到着直前のオリ急を撮ってしまったのです!
ヤンゴンからの帰路、バンコクにて2泊3日寄り道しまして、昼過ぎにバンコク到着後とりあえず線路脇を訪ねてみたところ……午後から夕方にかけてバンコクに到着する列車は少なく、バーンスーからの送り込み回送を含めても30~40分来ないこともままあり、折からの炎天下、激しい挫折感を味わっていたのでした。「嗚呼しまった……やっぱバンコク昼過ぎ到着は止めときゃ良かった。列車が多くないのは分かっていたので、撮りバスの午後にすれば良かった。撮りバスならば片時も休まるヒマはないほど撮りまくりであるものを。しかし、狙いをつけて新規開拓したこの立ち位置、ド順光でサイコーなんだよなぁ……もっと列車来いよぉぉぉ~」……そんな文句をグチグチ垂れながら……。そしてついに日もだいぶ傾き、線路脇の木の影が激しく線路にかかりはじめ……敗北感は募る一方でした (この点ヤンゴンは、環状線・近郊線鈍行が多数設定されていますので、たまにバックリと間隔が開くものの、総じて本数の少なさによるストレスは少ないのです)。
しっかーし! もう一本何か来るまで待とう、と粘っていたところ、遠くから旧塗装罐が現れ、これだけでも十分御の字ですが、その後ろに連結されている客車は紫色でも銀色でもなく……濃緑のツートンカラーの丸みを帯びた車両!!! 周囲に人がいないのを良いことに、ファインダーを覗きながら思わず「うわーーーっ!オリ急来たぁぁぁぁっっっっ!!!」と絶叫!(^^;) 結局、この日の午後のバンコク撮り鉄は、この一瞬のためにあったのであり、この一本を撮っただけでも十分意味のあるバンコク訪問となったのでした (笑)。
もっとも、出来れば泰緬鉄道で撮りたいなぁ~。

ST368

BR389

SE339

RS392

PN393

RS399

SD313

SD388

OB398

なお、編成写真を撮った直後は余りにも気分が動転して、速攻で標準ズームに交換して形式写真を撮った方が良いと判断する余裕がありませんでしたので、前の方の車両は撮りそびれましたし、ふと気が付いて一両ずつ撮り始めてからも結局70mmからの望遠ズーム×1.6 (APSサイズセンサー) で112mm相当となってしまいました。しかも超カツカツ……お見苦しい画像で恐縮です。個別の車号のアルファベットは何を意味しているのか、「RS」以外はよく分かりません。悪しからず……(^^;