地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ベトナム国鉄の客車 (2) リブ付き冷房硬席

2019-01-19 12:00:00 | ベトナムの鉄道


 先日の日経新聞には、一旦立ち消えになったベトナム新幹線計画再浮上という記事が載っていましたが、その内容を詳しく読んでみますと、ベトナムは中国と同じ共産党の一党独裁でありながら、財政規律についてかなり神経質な議論が根強いだけでなく (政府債務が毎年のGDPの65%を超えては宜しくないようです)、中共のような甚だしい個人崇拝というわけでもないために党内や国会内での一定の自由な議論の余地もあることが、当初のハノイ~ホーチミン市間を一気につくる新幹線計画の中止の背景にあるのだとか。
 とはいえ、急速な経済発展が続いており、新幹線に限らずインフラ全般が不足していることには変わりはありません。バクニンからザーラム・ハノイ駅を経てナムディンに至る、既存の国鉄線改良による通勤鉄道化なんて全然進んでいないそうですし、昨年末にベトナムビジネスに関わっている先輩と飲んだ際にも「ハノイの地下鉄なんて放置○レイ気味でいつ開通するのかさっぱり分からず、渋滞はますます酷く何じゃこりゃ。ハノイよりもホーチミン市の方が先にどんどん地下鉄が出来て、ハノイの面子は丸潰れになるだろう」とぼやいておられました。



 そんな中、日経新聞によりますと、ベトナム共産党内のリーダーシップの安定、そしてベトナムの外交・経済そのものの安定から、もう少々積極的に長期的な視点で必要なインフラ投資を増やしても良いのではないか、という流れになりつつあるようで、やはりハノイ~ホーチミン市間に段階的に高速鉄道を整備しようという機運が盛り上がって来たようです。日本側としてもかねてから、援助の受け手が無理なく返済できるスキーム作りでは長けているはずですので (そこらへんは中共の「一帯一路」なるものとは違う)、再びベトナム新幹線をめぐる日越協力という話が正式に動き出せば良いのではないかと思います (傍から見ているだけですが ^^;)。
 だいたいそもそも、ハノイとホーチミン市の間に主要都市が連なっている中、せっかく近距離・中距離も含めた膨大な旅客流動需要があるにもかかわらず、統一鉄道の旅客列車が余りにも貧弱なばっかりに、みすみすLCCと高速バス・クルマに客が流れ、空港と道路の過密を招いているわけですから、バランスある交通網形成において高速鉄道が果たす役割は大きいはず……。あるいは、タイとインドネシアで高速鉄道計画がぼちぼち一応進みつつあるのを横目に、前近代から我こそは文明国と思っていたベトナムとしてもおちおちしてはいられなくなったということなのかも知れません。

 というわけで、そんな変わりゆくベトナムの鉄道シーンを……。思いだした頃に超不定期でアップしている客車形式写真の続きです。車体構造そのものはコルゲートつきで、計画経済時代の車両の延長にありながらも、思い切った固定窓 (一部二段窓) でもあり、ドイモイが一定程度軌道に乗り冷房車への需要が高まった時代の車両 (90年代以後の車両?) と思われます。
 1枚目は硬臥車・Bn21405、2枚目は硬座車・B41360となっています。また他にこのグループには軟臥車がありますが、軟臥は形態がまちまちですので、また改めて……。