平成が残り100日を切り、平成の約30年間を振り返る云々といった企画が至るところで流行っているようですが、昭和の終わりを控えて昭和の60年以上を振り返るといった発想は失礼千万・不敬の極みで深く憚られ、あり得なかったことを考えれば(まぁ当時、私は大学受験でそんなことを考える余裕はなかったのですが。苦笑)、御代の変わり目が崩御ではなく譲位というかたちで本当に良かったなぁ……と思うものです。
とはいえ、鉄道という観点から平成を振り返るとすれば……残念ながら全体としては決して楽しい時代ではなかったでしょう。もともとあるコスト削減の課題に加えて景気の悪さで、鉄道車両はどんどん安普請になりましたし、何と言っても昭和の良き列車やサービスが消え、良き車両が消え……。要するに、国鉄が消え、国鉄型車両が消え、鉄道への憧憬の大きな部分を成していた重厚長大への思慕が崩れていった、という時代であったかと思います。個人的偏見ですが。
とりわけ、あれほど膨大な量の車両が走っていた103系が、30年少々の間に激減の一途をたどり、ついには105系化された車両を含めてJRWでごく僅かになりつつあるというのは、まさに平成30年間の時間の流れを痛感させるものがあります。したがって、とにかく減ったという現象だけを汲み上げてみれば、やっぱり平成という時代は哀しいの一言に尽きます。とはいえ、来たる5月1日に元号が改まったとき、播但・加古川はさておくとしても、果たして奈良・和田岬の103系や105系の4扉車が生き残っているのだろうか……と思うにつけ、何だかんだで「103系が走っていた時代=平成って良い時代だな」「冷静に考えてもみれば、新元号のもとでは103系は既にほぼ消滅し、あるいは消滅の危機ということではないか」ということが脳裏をよぎるのでありました。
というわけで、昨年末に出張ついでで撮影した奈良線の103系@京都です。果たして来たる3月の改正で、奈良線における221系の運用が拡充され、ごく僅かに残る103系が弾き出されたりするのかどうか?と思うにつけ、出張ついでの僅かな時間における巡り合いに恵まれて本当に幸せなひとときでした。