地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第五ジャカルタ炎鉄録 (4) プルワカルタ鈍行旅

2013-09-09 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 去る7月に断行されたジャカルタ近郊電車の大変革のうち、自動改札導入をめぐるあれこれにつきましては既に述べた通りですが、もう一つの……とりわけ車両を楽しむ向きにとって衝撃的な変化として、7月24日の終電を以て突然非冷房エコノミー電車の運行が全廃されてしまったことの重大さは、強調してもし過ぎることはないでしょう。運用を外れた大量の非冷房電車は現在、デポックの車庫に大集結していますが、デポックの収容能力にもそれなりに限界があるということで、早くも鋼製車2編成16両が西ジャワ州の田舎町・プルワカルタに廃車回送されたという旨が現地ファンのブログ画像などから明らかとなりました……。
 そこで、「消滅間際の非冷房エコノミーを乗って撮る」という今回の訪問目的の一つは急遽、プルワカルタに廃車回送された非冷房エコノミーを撮ることに変更となったのですが、この日帰り旅行はいつもお世話になっております『JABODETABEK COMMUTERS NEWS』のパクアン急行様とご一緒することになりまして、まずはジャカルタ・コタ始発プルワカルタ行の鈍行列車「Lokal Purwakarta」で約2時間40分 (定時) の旅をすることになりました。プルワカルタは、ジャワ島を横断する本線のチカンペックにて分岐して高原の都会バンドゥンに向かう路線の途中、ちょうどハードな山登りの手前にある駅であり、バンドゥン行特急「アルゴ・パラヒャンガン」の下り全列車が停車し (上りガンビール行は何故か全列車通過……-_-;)、エコノミー急行も上下全列車が停車しますが、今回の訪問は断食明け連休中につき特急・急行列車が混雑し指定券も直前ではゲット出来ないのでは?と懸念されたことに加え (実は杞憂だったのですが、この点はいずれ改めて)、ジャカルタから3時間弱の旅であればエコノミー客車でも余裕だろうと踏み、今回は8時50分発のプルワカルタ行鈍行でスタート!



 今回この鈍行を利用して何よりも驚いたのは……罐が正面流線型のCC203になっている!ということ。これまで鈍行列車の牽引は典型的アメ罐であるCC201が定番であり、正面流線型のCC203・204は特急・急行列車に充当されるのが常でしたが、最近新型罐CC206が優等列車に大量投入されたあおりで、最近までスターであったCC203もドサ回り的運用に充当されています……。1枚目の画像は、後日このプルワカルタ行鈍行を環状東線で撮影したものですが、この区間で流線型CC203を撮影したのも初めてで、結構新鮮なものがあります (現地を訪れたことがない方には「何のこっちゃ」でしょうが ^^;)。
 また、客車内に一歩入ると……何と!このような全区間乗っても3,000ルピア (約30円) しか取られない激安庶民列車であるにもかかわらず、家庭用エアコンが取り付けられ、一応まぁまぁ涼しいという……(@o@)。最近のインドネシア鉄道におけるイケイケドンドンな冷房化は、決してかけ声ばかりのものではないようです!
 しか~し! このエアコン装備がとんだシロモノに変わって行くまで、さほど時間はかかりませんでした……。過去数回、このプルワカルタ鈍行を沿線で撮影していて「まぁこんな列車、空いているに決まっているよな。朝8時台にジャカルタ・コタを出発して田舎に行く列車だからなぁ~」と思い込んでいたのですが、それとは裏腹にジャカルタ・コタを発車する時点でほとんどの席が埋まりまくり……。さらにクマヨランとブカシでドカドカッと客が乗り込み、車内は壮絶な混雑に……。どうやら、断食明け直後の連休中は、Uターン客で混み合う長距離列車ではない近距離鈍行であっても、親戚訪問客が殺到して非常に混み合うという……。そして、凄まじい体熱に覆われた客車内にあっては、小型エアコンが数台設置されていても焼け石に水。パクアン急行様と私が座るボックスには冷風は届きません……。しかも凶悪なることに、冷房化に合わせて客車の窓が完全に固定されて開きません! (号泣) というわけで、レバラン臨の優等列車が多数設定されて、鈍行も普段以上に多くの列車の待避を強いられる中、遅延が拡大するということは、蒸し風呂浴の時間も長くなるということで……。結局所定よりも30分以上遅れてプルワカルタに着いた頃には、激しく汗をかいてヘロヘロになってしまいました……(@_@;;;)。
 もっとも、ようやく苦悶の蒸し風呂地獄から解放されればこっちのもの (笑)。到着後早々に機回しをしてジャカルタ・コタへと折り返す鈍行列車を激写したのち、怒濤の廃車体見物が始まったのでした……(続く)。


 地元の英雄の像が複数ある駅前広場。虎がいるのはさすが南国!



 国鉄職員の社宅が並ぶ小道。こざっぱりとした雰囲気がGood!



 かつてSL運転の頃は賑わっていたであろう機関庫の残骸。
 そして……この傍らに衝撃的な光景が展開していたのです! (続く)

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