地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第五ジャカルタ炎鉄録 (7) 急行スラユのプチ旅

2013-10-25 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 昨日『じゃかるた新聞』にアクセスしてみたところ、ジャカルタからさほど遠くないエリアで超絶な車窓展望を楽しめるスカブミ線(ボゴール~スカブミ)について、今年末までに約1年来の長期運休に終止符を打って目出度く運行再開となるのみならず、何と!長年災害やトンネル老朽化等のために休止線となって久しかったスカブミ~チアンジュール間も復活し、ジャカルタからボゴール経由でバンドゥンに至る南廻りルートが再び全通するとのこと! そこでさらにインドネシア語ニュースサイトにアクセスしたところ、ボゴール~バンドゥン直通列車の使用車両はDCではなく、アメ罐CC201が牽引するエコノミAC客車列車になるとのこと! 果たしてその客車は2+3列シートの非冷房エコノミ客車を冷房改造したものなのか、それとも2+2シートの完全新車になるのか、フタを開けてみなければ分かりませんが、いや~日本中古電車と超絶風景のローカル線を乗り継いで高原の都・バンドゥンに行けるなんて夢のようです♪ その一方で、ジャカルタとバンドゥンを結ぶ特急「アルゴ・パラヒャンガン」は引き続き従来通り運行するとのことです。
 というわけで、しばらく間が開いてしまいましたが、今夏のジャカルタ訪問の続き……廃車エコノミー電車を激写するべく訪れたプルワカルタからジャカルタに戻る際に乗った、従来のジャカルタ~バンドゥン間ルートを行くエコノミ急行「スラユ」の乗車記です。
 プルワカルタは、ジャカルタとバンドゥンを結ぶ中間点にして、美しい山々と田園に囲まれしっとりと落ち着いた風情の街であり、バンドゥン行の「アルゴ・パラヒャンガン」が全列車停車するという点でもアクセス上々。(下記パクアン急行様のコメントにより、最近朝方1本を除いて全列車通過となった旨が判明しました……-_-;) 今後のバランスある発展が十分に期待されるところです。しかしながら……折角アルゴ・パラヒャンガンは空気輸送、もとい発車時刻直前でもいつでも乗れる至便な特急列車であるというのに、ジャカルタ・ガンビール行は全てプルワカルタを通過するとは一体どーゆーこっちゃ……(-_-メ)。当初帰りに乗るつもりであった13時40分発のジャカルタ・コタ行鈍行が、何故か一切予告なく運休というわけで (→レバラン臨用に編成丸ごと動員されたか、あるいはジャカルタ・コタ駅の時刻表には載せてみたものの、あくまで「走らせたい願望」に過ぎないとか……爆)、レバラン連休でも意外と空いている「パラヒャンガン」がプルワカルタに停まってくれれば、喜んで大枚はたいて1等車の客になってやったものですが (往路も実は、ガンビール駅10時台の「パラヒャンガン」で来れば空いていて快適だったという……-_-;;)、14時台にプルワカルタを通るアルゴ・パラヒャンガンもとにかく停まらずに猛スピードで通過!! (号泣)



 そこで、定刻では15時過ぎにプルワカルタを発車するエコノミ急行「スラユ」で帰ることになった次第。しかしこの「スラユ」は、中部ジャワのプルウォクルトを朝出発し、プリアンガン高原をめぐる険しいルートをひたすら走ってやっとこさ午後3時にプルワカルタに達するという長距離列車ですので、果たしてそもそもレバラン明けのUターンラッシュの中、指定券(原則としてエコノミー急行でも無座切符は売らなくなりました)をゲット出来るのかという懸念もあり、購入を担当して下さったパクアン急行様がなかなか窓口から離れないのを遠目で眺め「切符の有無でもめているのだろうか……」とヤキモキ。もっとも、これは単に発券プリンタか何かの調子が一時的に悪かったためと判明し (^^;)、無事指定券をゲット! 後で乗車時に判明したことですが、中部ジャワ方面から延々と乗車してプルワカルタに帰って来る客が多いのに対して、プルワカルタからジャカルタまで60,000ルピアという超!高額な運賃を払ってエコノミー客車に乗りたいという客は僅少であるため (何と往路に乗った鈍行の20倍の運賃!)、余裕で当日でもゲット可であったという次第。
 つーか、「長距離列車に途中から短距離乗車する場合、かなり長距離の運賃を取る」というインドネシア鉄道の運賃制度を何とかしてくれ……と思うのですが、短距離の切符で長距離を勝手に乗ってしまう不届きな客の排除、あるいは長距離列車では長距離客になるべく切符を融通するという方針が第一にあるのでしょうな……。もっとも、こういう方針を良い方向で解釈すれば、終点間際で、しかもレバラン前後で他の輸送機関 (鈍行列車やバス) がメチャ混みである場合、金さえ払えば多少ボロい客車であっても素速く快適に移動出来るというわけで、改札時には若干ながら、如何にも中産階級っぽい小綺麗な格好の客が我々と同じく「スラユ」の短区間乗車に6万ルピアを払って乗っていました。
 そして実際、いざ列車が到着して乗ってみますと、6万ルピアでエコノミ客車に短区間乗ることの馬鹿馬鹿しさは、一転して「ありがたや……」の極みに (笑)。何のかの言ってレバラン後の混雑もあってか、「スラユ」はプルワカルタに1時間半近く遅れて到着したのですが (普段インドネシアの長距離列車は割と正確、と申しますか遅れても20~30分程度なんですけどねぇ……苦笑)、車内に一歩入ってあっとオドロキ! 取り付けられたばかりの大型家庭用クーラー[確か三菱製]は非常に良く効いており、2+3ボックスシートのエコノミー客車であっても快適極まりないという……。まぁパクアン急行様と私の二人で6人用ボックスシートを占拠できたということもありますが (プルワカルタにて大人数で下車した御一行にTerima Kashih! 笑)、定員以内であり、しかも大出力の家庭用クーラーが効率の良い位置に設置されていれば、一見ボロなエコノミー客車も大化けするということです、はい。ちなみに往路の鈍行は、小型クーラーが網棚の上にかなりの間隔をおいて千鳥状に配置されているのみでしたが、急行「スラユ」の場合は天井に新たに車体断面方向の板を設置し、かなり大型のクーラーを固定してブワーッとやっておりました。後者の方が確実かつ効率的に車内全体を冷やせます)。
 というわけで、このエコノミ急行「スラユ」、プルワカルタから先、バンドゥンを経て終点に至るまで非常に景色が良いところをひたすら走りますので、いつか全区間乗り通したいものです……(^^)。とはいえ、最近の急激な冷房化による急激な運賃上昇は、インドネシアの交通体系全体におけるエコノミー急行の位置づけをかなり微妙なものにしているような気がしておりまして、そこらへんの問題は改めて述べてみたいと思っております。

 ちなみに、2枚目の画像は昨年撮影した「スラユ」の画像になります。悪しからず (^^;)。昨年の時点では冷房化されていないことが開いた窓から一目瞭然であるほか、列車衝突事故の際の死傷者を減らす目的で編成の両端に連結が義務づけられた空車がまだ連結されていない状態です (今年は連結され、6連が8連に変わっていますが、最後尾のビズニス=2等客車は無人で、勿体ないですね……)。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (おっとっと)
2013-10-25 11:00:09
>パクアン急行さま
 Selamat pagi!コメントどうもありがとうございます!
 毎回の更新を超楽しみに拝見しておりまして、とりわけ最新罐事情やプルワカルタ事情につきましては大いにのけぞるほどの衝撃を感じているところですが (CC204のスマトラ送りは旅客列車増発……? CC201逆エンド牽引&混結客車のブロモ・アングレックはネタ過ぎ! 赤罐タンジュンプリオク! 鋼製エコノミ電車続々廃回……一部はバンドゥン以東へ? 等々……)、なかなかコメントするヒマが無くて大変恐縮です m(_ _)m
 巡視車ウィジャヤクスマが不通線に入るということは何かあるということで、私もパクアン急行様の最新ニュース欄を拝見して以来ソワソワしていたのですが、いやーとにかくバンドゥンへの鉄路がついにようやく再び2本になるということで、頭の中はフィーバー状態です (笑)。
 しかし確かに、CC201が本当に強い罐なのかどうかはギモンですね~(汗)。現在のプルワカルタからの登りでも、CC203・204が牽くパラヒャンガンは結構息も絶え絶え気味であり、それが高速道路に客を奪われる原因になっているわけで……。私などは、果たしてCC201がボゴールからチゴンボンへの超急勾配をCC201が登る際に、どれだけ苦悶に満ちた釣掛の絶叫が響き渡るのか、そしてそもそもチゴンボンの華奢な橋をCC201が渡れるのか、といったことを考えてしまいます (まぁ昔はクルップ製の大型SLが走ったことでしょうから、大丈夫なのだと思いますが……^^;;)。
 まぁ何はともあれ、CC206の大量投入(あるいは地味に進みつつあるアルゴ客車やエコノミAC客車の増備)の結果、余剰でもまだまだ使える既存車を使って地方短距離~中距離輸送にもテコ入れしようという姿勢は評価したいと思います。罐+客車ということで、基本的にはバンドゥンを拠点とした運用が組まれるのだろうと推測しますが、客車のタマ数が最終的に本数を決めそうですね。ボゴール~バンドゥン間で少なくとも数本は常時運用して欲しいところですが……。あと、ジャカルタ側の起点はボゴールなのか、それともドゥリやタナ・アバンまで延長運転されるのか(その場合途中駅は通過となるでしょうが、デポックあたりには停まってやっても良いような気が……)、いろいろ注目したいですね~。
返信する
Unknown (おっとっと)
2013-10-25 10:59:57
>パクアン急行さま
 (上のレスの続きです)
 それはさておき……ええええぇぇぇぇ……下りパラヒャンガンほどんとプルワカルタ通過! (号泣) そもそも、ガンビール行が全部通過するというあたりで、プルワカルタの住民からは見向きもされなくなることが明らかなはずですので、ブカシといいプルワカルタといい、何故もっと地元紙への広告を出すなどして宣伝しないのか、本当に首をかしげざるを得ないものがあります。まぁインドネシア人も日本人と同様にちょっとシャイですから仕方がないのかも……(そういう問題ではないのかも知れませんが)。とにかく、列車の長所は「途中でも客を多く拾える」点にあるわけですから、プロモ運賃で勝負して欲しいところです……。
 
 スラユ定刻! ダイヤが乱れがちなレバラン期でなければ、午前のジャカルタ・コタ発の時間といい、午後のプルワカルタ発の時間といい、空調がガンガンに効いており車内も適度に良好な雰囲気の「スラユ」は、プルワカルタ廃車体ウォッチの定番列車ということで決まりですね!!
返信する
Unknown (パクアン急行)
2013-10-25 01:09:06
Selamat malam.

先日、Wijaya Kusumaがスカブミ線に入線し、地元マニアの間でもいよいよ営業再開か!?という噂が出ていた矢先、ついに今朝のじゃか新に出てきて、おかげで目が覚めました(笑)。

出力の強いCC201を投入云々いう文面には、こいつ何もわかってねぇな、という違和感もありますが、CC206の大量投入で余剰となる釜が回ってくるのでしょうね。まぁ、あと問題はどの程度の本数が確保されるのかということ。1編成が行ったり来たりの超過疎ダイヤになりそうな気もしないでもないですが・・・。

さて、先日Purwakartaに再度訪問してきたのですが、なんと下りパラヒャンガン、朝の一番列車を除いて全列車通過の憂き目に!!レバラン時期ですら、乗降客がほぼゼロな状況でしたから、その後の時刻修正で停車の価値なし!と判断されてしまったようです。数年前に実施されたBekasi停車も結局通過(絶対需要はあるでしょうに)になっていますし、もう少し効果的な宣伝をして、高速バスに対向してもらいたいところです・・・。

ちなみに先日の上りスラユは定刻でした!
返信する

コメントを投稿