今回の西ジャワ鉄ヲタスポット大周遊にあたっての一番のキモは、プルワカルタとチアンジュールの間を如何に効率よく連絡し、午後13時50分にチアンジュールを発車するボゴール行の「シリワンギ→パンランゴ号 (スカブミで長時間停車し列車名変更)」に間に合わせるかということ。そこで、プルワカルタで廃車体激写大会と長丁場の移動に備えた簡単な腹ごしらえ(駅前の小さな食堂でミーアヤムをすする)を終えた後、9時15分発の急行スラユ (ジャカルタ・コタ7時40分発→バンドゥン方面を経由してプルウォクルト行) を利用して、ボゴールからの線路が合流するバンドゥン西郊の街・パダラランに向かいました。
この急行スラユの良いところは、レバラン(断食明け)帰省ラッシュ繁忙期などでもない限り、必ずと言って良いほど空いていること♪ (そのこと自体は、中~長距離輸送の需要を長距離バスに食われてしまっていることを意味しているわけで、余り喜ばしいことではないのかも知れませんが……。インドネシアの鉄道でもかつてのJNRと似た現象が起こっている可能性が高いということです) 全車3等ボックスシートということで、普通の外国人観光客でしたら尻込みしてしまうかも知れませんが、実際には全車指定席が徹底しているだけでなく、総じて長距離急行用の3等客車はかつての日本の43系客車やDC・電車急行のボックスシート車がそうであったように、鈍行用車両と比べて遥かに良好に整備されています。しかもインドネシアの急行用ボックスシートは日本のそれと遜色ないほどのシートピッチがありますし、クッションも良く効いていますし、何と言っても最近搭載された家庭用クーラーも大型で、鈍行の3等客車と比べて俄然良くクーラーが効いています (その代わり全く窓が開きませんが……)。
というわけでこの急行スラユは、あくまで昔の日本のガラガラな急行列車に乗るのと全く同じノリで利用すれば良いのです♪ 今回も、指定された車両は平均して1ボックス0~1名しか乗っておらず、指定された席ではない別の席に移動しても一切問題なし! プルワカルタ~パダララン間は急峻な山岳地帯を急勾配・急カーブ・巨大鉄橋で克服して行くという、インドネシアの鉄道の中でも有数の絶景ゾーンでもありますので、ボックスシートを独占し、窓外にあふれるジャワの大自然と棚田の風景に酔いしれながら、客車の乾いた走行音に惚れ惚れする……という至福のひとときを過ごすことが出来るのです♪ 同じ車内にウルサイ会話の客さえ乗っていなければ……(鬱)。
なお、5年前に初めてパラヒャンガンで通過したプルワカルタ~パダララン間では、何と!複線化&全面線形改良工事が進行中でした。蘭領時代の険しい隘路では最早平行する高速道路に太刀打ちできないため、一気に複線化・高速化を図ろうということなのでしょう。そして、一部の区間は既に完成して駅間で離合したため、進行方向右側に座って「今でも単線だろ」と思い込んでいた私は吃驚しました。しかしそれは同時に、昔ながらの趣がある大鉄橋や山間の小駅が次第に放棄されて行くことを意味するわけで、沿線ではインドネシア人撮り鉄の姿を散見しました。ジャカルタ~バンドゥン間で古き良き山越えの風情を楽しもうと思ったら、まさに今が最後のチャンスかも知れません。
そんなこんなで10時50分過ぎ、定刻から僅かに遅れてパダララン着。本来でしたら発車シーンを見送りたいところですが、セキュリティが多数見張っていて「早く駅から出ろ」と言いたげな表情をしていましたし、何よりも残り約2時間50分以内にチアンジュール駅に向かわなければなりません。距離的には40~50kmといったところで、路線バスでも2時間以内に移動出来るかな?と見積もっており、事前に落花生。様に伺ったところでも、バンドゥン空港近くからチアンジュールまで路線バスで約2時間程度とのことでしたので、さほど心配はしていなかったのですが、渋滞・事故による大遅延など不測の事態も有り得ます。そこで、パダラランの駅舎を出ると、駅舎の写真を撮る気分的余裕もなく速攻でオジェック=バイクタクシーを捕まえ、「テルミナル ビス ク チアンジュール!」(チアンジュールに行くバスの発着所に行ってくれ!)と一言告げてブッ飛ばしてもらったのでした (言われ値そのままで10,000ルピア)。
なお画像は、CC201牽引のスラユをプルワカルタ駅と、翌朝ブカシ線内で撮影したもの。以前と比べますと赤スカートになっています。
プルワカルタの駅舎内。
改札が始まり、スラユの到着をホームで待つ。
棚田がいっぱい。
小駅周辺の田舎の風景もまたをかし。チカドンドンという駅名が微笑ましいです。
高速道路は大渋滞。これなら鉄道にも再びチャンスが?
右遠方の鉄橋からここまで、谷を見下ろしグルッと。
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