姉歯元一級建築士へ、懲役5年罰金180万円の実刑判決が出た。多くの新聞のトップ記事として扱っているが、これはチョットおかしい。耐震偽装に関わる、判決ではないからである。
今回の判決の主体となっているのは、議院証言法違反罪に対する判決である。建築基準 法違反は、罰金50万円以下となってる。国家試験の難関を抜けてきた資格者は、犯罪を犯さないとする前提があるからである。姉歯被告自身も、ほとんど無頓着のように振舞っているのが気にかかる。
その罪の主体となった、国会での偽証の相手とされた篠塚元支店長は、彼の証言で見も心もズタズタのようである。ある報道番組で、年端の行かない若い記者が篠塚元支店長に、卑劣な言葉をかけていた。彼の人権は誰が繕ってくれるのであろうか。
日本は、資格国家である。獣医師の資格を持っていれば治療のために、家畜に薬物を投与できる。企業化した大規模な畜産は、獣医師を雇って恒常的に鶏や肉牛や豚に抗生物質を投与している。企業の意向に沿うように、資格を使うのである。
違法性が問われるような事態が起きても、資格者は問われるが、経営者や発注者は何も問われることがない。耐震偽装事件は、議院証言法の番外の法に問われた判決を受けて、最大の犯罪者はこれでおしまいである。なんとも奇妙な国家であることか。