「ホワイトカラーエグゼション制度」は、働くものにとって極めて悪意を持った法律である。だいたいカタカナにして、いるだけで胡散臭いところがある。労働に裁量性を持たせるとしているが、どのようになるかは、今の状況を見るだけで推測がつく。
雇用者は、仕事の達成のためなら時間に束縛されることなく働けと言うのであるが、雇用 を弱者の労働者の目から見ていない。定時の労働時間さえ、現実には守られることなく「サービス残業」をしている状況である。正規の要求を雇用者に提出すると、雇用者や管理者にいい目で見られない。そんな、極めて単純な人間的な行為である。
今でさえ派遣社員などは労働基本法に保護されていない。ましてや、パートや本当の臨時雇用屋などは、時間外どころか基本給の支給さえおぼつかない状況である。
時間外労働を、時間外労働どうと区別して高く設定しているのは、健全な考え方である。厚生労働省の集計でも、2004年には不払い残業が2万3千件にもなっているが、これは氷山の一角である。
過労死が起きる状況を考えるだけで、裁量性を与えると労働のして質が上がるなどとは、雇用者の都合の良い解釈でしかない。現在でも、好況事業は利潤を労働者に還元していない。
この国は、「規制緩和」と称して、強者を擁護する制度を次々と導入している。これが「うつくしいくに」(逆さに読むと、「にくいしくつう」となる)の実態である。