プーチンはウクライナをロシアに引き寄せようと暴力的に行動を起こした。しかしながら、起きている現象はウクライナをはじめとする近隣諸国の離反であり離脱であって、むしろ敵対ですらある。プーチンの思惑は完全に外れた。北風と太陽そのものといえる。
ウクライナでは、普段はロシア語で話し合っていた人たちも、ロシアを忌み嫌い恐れから、ウクライナ語で会話するようになったということである。
ウクライナではロシアの圧力でNATO加盟賛成者が3割程度であったが、ロシアの侵略で8割が加盟賛成に回っている。
それが最も顕著なのがフィンランドとスウェーデンである。とりわけソビエトにもロシアにも幾度も国境を脅かされ占領された歴史を持つ、フィンランドの36才のサンナ・マリン首相は、積極的にアメリカやNATOと接触している。中立化を放棄しNATO加盟は時間の問題であろう。フィンランドも後を追うであろう。
ベラルーシは2年まえの大統領選挙が不正でなければ、ルカシェンコは大統領になれなかった。ヨーロッパ最後の独裁者と言われるルカシェンコは、プーチンを唯一支持する国外の為政者となっている。そのうちウクライナに参戦するのでないかと思われるほどである。正常に選挙が行われていれば、ベラルーシはNATO加盟はともかくとして、ロシアとは大きく距離を置いていたはずである。
ジョージアはいまだにロシアの圧政の中にある。国内にロシアの自治区があって、その国境(?)を強制的拡大しているし、ジョージア国内の住民にロシアのパスポート配布している。
今回のロシア・ウクライナ戦争でロシア国外に30万人が脱出しているし、国内の若者たちはロシアの蛮行を恥じる若者中心の人たちがいる。
ロシア国内では国営放送しか聞かない、戦前の日本の大本営発表しか知ることができなかった日本国民と同じである。
報道特集でロシア国外に活動拠点を置いている、文学者ウラジーミル・アクーニン氏は、「プーチンはロシアではない。ロシアは間もなく自由を獲得するであろう。幾つかの国家に分裂するかもしれない。」とまで述べている。識者は深刻な今のロシアを認識しているのである。
ロシアは余りにも広大な土地を所有している。民族も多様で、大人しくロシアの侵略に従っている面従腹背の民族も多い。ウラル山脈の向こう側の歴史だけで国家を統一し、ナショナリズムを煽っても、愛国心を鼓舞しも、大ロシアを主張しても、反ネオナチを訴えてもプーチンの声は届きはしない。
帝政時代も、社会主義時代も、プーチン時代も変わることなく、近隣諸国を圧するロシアである。