アメリカのキャンプデービットで開かれている、38回目になる先進国首脳会議である。当初は6カ国で始まったが、カナダが入りソ連崩壊後のロシアがはいって、8カ国になっている。
サミット(頂上)という言葉にも、自分たちの思い上がりがあり、首脳たちは参加することでの誇りを感じていたものである。現実に、世界のGDPの7割程度は占めていたはずである。
社会主義国の崩壊と、BRICsの台頭によってかつての栄光はなくなってしまい、お願いだらけあるいは願望に満ちた宣言がやっとの状況になってしまっている。
今回も、ギリシャにユーロ度離脱しないでくれ、国際エネルギー機関(IEA)にエネルギーを十分確保してくれるよう要請までしている。アメリカ主導で、イランを経済制裁しては見たものの、どうやら各国青息吐息のようである。
最終日に、野田が誕生日を祝ってもらった以外に存在感を示せた、挑発的な北朝鮮の自粛が盛りこまれたのが唯一の成果と思われる。
財政再建と経済成長を宣言に入れたのは、選挙を控えたギリシャに配慮したものである。小国であっても、世界経済に占める意味合いは計り知れないものがある好例である。30年前には考えられなかったことである。
イランもシリアも北朝鮮も、背後に中国あるいはロシアが存在する以上は、G8の宣言は空論に近いものである。
サミット直後控えるNATOに向けて、そそくさと多くの首脳は旅立った。アフガン問題のほうが深刻なのである。
40年近く前の世界情勢を引きずったままの、G8はほとんど存在意義がなく、英国女王の戴冠60周年記念式典の王室と遜色のないものと言える。