民主党への政権交代を受けて、官僚たちのトップ会議である事務次官会議を止めた。120年ぶりのことらしい。早い話すが初めてのことである。民主党の脱官僚も、政治主導も全てが「国 家戦略局」の成否にかかっていると言える。
頭脳的には相当優秀な集団の、日本の官僚たちである。長年にわたって務めあげた、極めて専門性の高い分野も少なくない。彼らを一介の政治家がコントロールできるであろうか。真っ先にこのような疑問が湧く。
官僚政治からの脱却、政治主導の実現とマニフェストで大見えを切った民主党政権の評価は、ひとえにこの国家戦略局の成果にあると言って過言でない。頑張りましたでは評価の理由にならない。成果によって判断されることになる。副総理兼担当大臣となる管直人は、細川連立政権で厚生大臣としてエイズ問題に取り組んだ経験がある。自らに不利になる資料をひたすら隠す官僚から。何処かの奥にあったとか言ってファイルを提出させた実績がある。
しかし、今回は余りにも幅が広く政府全般に及ぶものである。更に、戦略局と各省庁との命令関係はどうなるのか判然としない。又、与党として「基本政策閣僚委員会」を設置しているが、こことの意見調整も、困難を極める場合も予測される。これまでに存在しなかった機構の存在、しかも中枢になる首相直属の機関である。こうしてみると、命令系統が交錯することがすでに織り込まれているようにも見える。
戦略局は、主に内政に係わることになると思われるが、ここが機能してさえいれば、外交についてもあるいは多少の問題が生じても、乗り切れるものと思われる。結局新設された、国家戦略局が機能するかどうかが、民主党政権の命脈を握ることになる。