そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食い物にされるルーマニアの農地

2009-09-14 | 政治と金

東欧で最も独裁国家の様相を呈し民主化が遅れた、ルーマニアの農地が穀物メジャーたちに食い荒らされている。ルーマニアは1947年の社会主義化で、農業の集団化を進めてきた。農民の収入につながらなかった集団農場は、1989年のルーマニア革命で崩壊した。

皮肉なことにルーマニアの農地は、零細農法であるがために肥沃なままであった。これにEU各国の大資本が目をつけた。ルーマニアには外国籍や企業でも自由に農地を買うことができる。デンマーク、フランス、ポルトガル、スェーデンなどEUの大資本が大量に農地を購入し始めた。Img_0987 最近は穀物メジャーも入ってきたのである。ランドラッシュうと呼ばれている。これらの企業で働くのは、土地を提供した地元の元農民である。

購入者の良分析では、ルーマニアの農地は最高クラスに入るそうである。しかも、EU諸国の20分の1ほどの価格で購入できる。国も大型化を後押ししている。ルーマニアはEUに加盟しているが、伝統的な小農にはEUは補助金を出していない。

社会主義体制の時代につくられた、古い穀物サイロ(保管庫)が130ほどあるが、世界最大の穀物メジャーのカーギル社が57購入した。大量に買われた穀物は、値が上がるのをここで待つのである。ルーマニアの農民は、カーギルの言いなりの価格で穀物を預ける。自国が作った施設が外国企業に買い占められ、そこに預ける矛盾を農民は口にする。

10年ほどでルーマニアの農地の90%は外国企業のものになるだろうと言われている。そのころになると、今のような収量は期待できなくなり、化学肥料を大量に投与することになるだろうと、買い占めた外国企業の関係者は吐露する。

形態はやや異なるが、日本も同じである。日本の農地は農民の手中にあるものの、食糧は外国とりわけアメリカに依存する形になってしまっている。日本の食を変えることで、農民から食料生産手段と目的を喪失させているのである。

ルーマニアは、20年後には企業によって放棄された農地が広がるだけの、惨めな国家になるであろう。このままだと、日本はそれより早い速度で疲弊することになるであろう。

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1 コメント

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 母なる大地から恵みを受けるという謙虚な気持ち... (紫錦唐松)
2009-09-15 13:18:37
 母なる大地から恵みを受けるという謙虚な気持ちが忘れ去られたのかな。
 農業が利益優先の企業論理に組み込まれてしまうと、恐ろしい未来を予感します。

 継続する社会こそ生きるものに希望を与えるのであり、未来のない社会は滅亡を意味します。

 地力のある土地から農作物を収奪し、さらに化学肥料と農薬で収穫高を上げる。
 水資源のない場所では地下水までくみ上げ、やがて塩害などで土地が放棄される。

 人類の歴史で何度も大きな文明が滅びましたが、その大きな要因だったと思います。

 素人目には、終戦後の日本農業にも一部該当するところがある気がします。有機農法が注目されるのはそんなところにあるのかな。
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