今月いっぱいでアナン国連事務総長が退任する。退任に当たって最も気にかかるのは、なんと言ってもイラク情勢であろう。最近10人委員会が提出したに内容もそうであるが、結局一般人の見方のほうが正しいように思える。
アナン氏も「フセイン時代のほうがましだった」と発言している。治安問題、 内戦状態のことを言っているのであるが、彼にしてみればアメリカ侵攻を止められる目算があったのであろう。もうすでに旧聞になってしまったが、アメリカ侵攻以前に大量破壊兵器も確認されなかっし、その後にもなかった。
犠牲になったのはイラク国民である。日本の報道は、イラク国民は5万人死亡として入るが、アルジャジーラやガーデイアン誌は16万6千人死亡していると報道している。この3倍もの違いは一体何だろう。
更に今年の9月以降は、悲惨な宗派間対立から死者の数はかつてない数字になっている。イラクに人たちは、例え異宗派であっても、モスクの攻撃はしなかったものである。
今度就任するハンギブン(潘基文)氏は、隣国の外相でもあった人物である。実質的に軍隊を持たない、あるいはアメリカなどの大国の論理に抗し切れない国連の存在意義をどれだけ示すことができるか、興味を持ってみたいものである。とりわけ、アメリカが退いたアフガニスタンでは、タリバンが息を吹き返している。