そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

恐怖のモスル奪回作戦、その後どうするのか

2016-10-20 | イラク
「イスラム国」(IS)が支配するイラク第2の北部の都市モスルに、イラク政府軍、クルド人民兵軍団ペシュメルガ、トルクメン人など少数部族の武装勢力が加わる解放作戦が17日から始まった。モスル奪回作戦である。地上兵は撤退したアメリカ軍は、空爆による支援をするということである。
モスルは人口150万の大都市である。2年前に、ISに支配された現在でも100万人はいると思われる。2年に及ぶISの支配下の実情はよくは解っていないが、彼らもゲリラ戦に備えていたはずである。ISの戦闘要員は5千から8千と言われている。対するイラク軍などは総勢で5万人を超える。ISはゲリラ戦に備えている。彼らの主要戦法は自爆である。市内には地下道が張り巡らされていると思われる。市内に侵攻してからの戦いが生産を極めるだろう。
もっとも心配されるのは、モスルの一般市民である。これだけの市民を抱えたままで、自爆をいとわないIS戦闘員が何をしでかすかわからない。市民を盾にすることであろうが、イラク政府軍はお構いなしに攻め入ることであろう。その後発表されるであろう戦果の公式発表に、犠牲になった市民の正確な数字が示されるであろうか?
暴力は新たな暴力しか生み出さない。イラクがそのいい例であるが、モスル奪還は少なくともその教訓を踏まえていない。
そもそも、ISが2年前にモスルをほぼ無血で奪還したのは、シーア派のマリキ政権へのモスル市民の反発が根底にある。今回の奪還についても、政治的な交渉は全くなされていない。暴力的にモスルを奪還しても、ISの実質的な支援国の、サウジアラビアがどうした態度で応じるかも不明のままで、新たな政治的問題を生むだけなのである。
更に、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、モスル解放で新たに難民が20万人は出ると予測している。イラク政府はこれらへの対応はったく考えていない。そもそも、この2年間全くモスルへの作戦はなかったのである。それはマリキのスンニー派へのあてこすりであるが、ISを追い出しても、モスル市民の政府アメリカへの不信は収まることはないだろう。

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