
プーチンがCSTO(集団安全保障条約 : Collective Security Treaty Organization )をモスクワに呼び出し急遽開催したことは、フィンランドとスウェーデンがNATO加入申請がよほど大きかったように見える。
口ではNATOへの二国の加盟申請について「直接的な脅威にはならない」とプーチンは述べてはいるが、両国に軍事施設が設置されれば対抗措置を取るとも述べている。
CSTOの実態は、ロシアの権力によってそれぞれの国の政権が保護される構図が見えてくる。ベラルーシのルカシェンコは大統領選挙を暴力的に戦い勝利したのもプーチンのお陰であるし、今年1月にカザフスタンに反政府運動が起きるとトカエフは本条約に基づきロシアの空挺部隊の派遣を受け入れている。
かつてのワルシャワ機構のような繋がりの強い軍事同盟ではない。増える一方のNATOと反対に出入りが激しく、機構も何度か変遷している。現在のCSTOはロシアがプーチン政権安泰に利用しているに過ぎない。最もプーチンに近いとされる、ベラルーシのルカシェンコが最も政権基盤が弱い。機構そのものが今回のような、プーチンの政策支援のアリバイ工作のようにしか使われなくなるのでないか。
今回の集まりでも、ルカシェンコは”悪魔のような経済制裁”をこのグループでなんとかしなければと発言している。プーチンのウクライナ侵略を頭の一部ては、明日は我が身という意識があるに違いない。プーチンの演じた西側のサミット風の集まりにはならなかった。