マレーシアの首相が、農地でのバイオ燃料生産転換を停止するよう、イスラム途上国会議で要請した。世界的な食糧高騰が、途上国の農地を燃料生産に転嫁するために、さらに食糧高騰 に拍車がかかるということである。
その典型が、インドネシアのパームオイル生産である。フランスなどの、ジーゼル燃料の原料になるため、この数年で広大な熱帯雨林が伐採されている。森で暮らす人たちが、住処を失いさまよっている。
ジーゼルエンジンが稼動するその局所を捉えると、確かに「地球にやさしい」燃料であり、動力のように見える。そのために、インドネシアの熱帯雨林が伐採され、河川が汚染されていく現状を無視してはならない。先進国が、貧国の環境に金を出すことで、パームオイルを生産しているのである。
政府は、無活用地として業者に伐採許可を与えている。外貨が稼げるから解らなくもない。それも、どうやら一部のようにみえ、多くの所が無許可で伐採されているようである。現在は、増産に次ぐ増産である。
パーム生産農場は、プランテーションと呼ばれるような、きわめて大型農場である。今回の、洞爺湖サミットは、バイオ燃料生産を推進している一方で、食料安全保障も盛り込まれている。
バイオ燃料は、競合しないことが大前提であるが、「健康のためなら命も惜しくない」論になりかねない。温暖会対策として、フランスの原子力発電重視も類似の論理である。
先進国が、金銭的に途上国を支配する関係は、今回のサミットの途上国の主張に符合する。市場経済に重きを置いた、グローバリズムは同じことを繰り返すばかりである。先進国の張ってのために、途上国が金をもらって溜飲を下げる図式は、同じことになる。
バイオ燃料は、先進国の懐と空気にやさしいが、発展途上国にとってはやさしくない。
環境に重きを置いた、グローバリズムこそ必要でないか。国益を見据えながらの、グローバリズムは、再び世界を南の国に恵みを与え、発展する北の国を生みだすばかりである。