アメリカの経済が好転しているという。その指標の一つが失業率であるという。10%ほどあったものが、6%程度まで下がっているというのである。オバマの再選まで担保する、失業率とはなんだろう。
完全失業率は、労働人口を完全失業者で除した%であるということである。完全失業者とはないかといことは意外と語られていない。
家庭に入って専業主婦だった女性が、就労を希望すると完全失業者として、カウントされる。この数字が意外と、この20年で増えたのではないか?
しかし、例えば私が診療している肉牛農家がある。ここは規模が大きく、常時労働者を求めている。
常時求めているのは、継続的な労働者がいないということである。実に様々な人たちが来る。
この人たちの多くはすぐに辞める。ウンコまみれで汚いし、牛の扱いはすぐにはできない。仕事が多様であり、習熟が求められる。同じことの繰り返しは少なく、牛の観察や扱いは常に予断を許さない。
要するに典型的な、3K職業である。給与は悪くはないと思うのであるが、辞めていく牧夫の多くは「嫌なことはやりたくない」のである。
雇用保険など社会的なセフティーネットも、不十分であるかも知らないが、それなりに充実している。失業者には、切迫感がなく、ハングリーではないのである。
英国人女性を殺害して、整形手術をして逃走していた犯人がいた。彼は逃走の数年間、ほとんど失業することがなかったと発言している。その気になれば、職はいくらでもあるというのである。
こうした選り好みをする労働者も、「完全失業者」にカウントされる。パート希望の主婦も同じである。失業率を、経済学者か社会学者かわからないが、学者の懐の中に入れておくと、実態が見えなくなる。
3K職業に多くの東南アジアの人たちが、就労している現実もある。
失業率を数字だけで見ると、社会で何が起きているのか、どうするべきなのかの指標や対策も十分にできなくなる。
3K問題はヨーロッパ移民で問題が顕在化、日本で克服したはずの身分制度が復活し、外国人の労働力によって補われつつある気もします。世界各国の若者体験に比較すると、平和日本で育った若者にハングリー精神を持っている人は少ない気がします。
どの国でも第一次産業、第二次産業が基本であり、サービス業と資本運用だけで成立する国があるとすればそれは寄生虫以外の何物でもない。