北朝鮮がミサイルを発射する。こんなことでしか国威を発揚できない国家である。技術も稚拙で危険極まりない。確かにどこに落ちるか判らない。
しかし、日本の騒ぎようは、異様である。アメリカの高官が破片の一部が落ちることもありうると、ちょっと発言したおかげで、PAC3をあちこちに配備している。
沖縄ならともかく首都圏でも南の空に向けて睨んでいる。マスコミは大喜びで詳細を見せつける。なんと恐ろしい国かと、庶民は怯える。
ミサイルでも衛星でも構わないが、弾道の破片が落ちてくることは当然ありうるが、それはこれまで多くの国がやってきたことである。その都度騒いでいたわけではない。
その確率は、天文学的に低いものである。文字通り空が落ちるかもしれないと怖れる、「杞憂」である。大騒ぎの目的は、拉致問題が解決どころか糸口すら見えない苛立ちの原因を、国民に不条理国家を見せつけるためである。
破片落下の大々的なキャンペーンは、北朝鮮の意図の本質を見落としてしまうことになる。
小学生に屋外に出ないようにとか、漁船に出漁を思い止まらせたり、飛行機に航路の変更をさせるなどというのは、とても面白い発想であるが、反北朝鮮キャンペーンそのものでしかない。
喜んでいるのは北朝鮮である。こんなに大騒ぎしてくれて、新しい指導者の門出に相応しいと思っているに違いない。ついでに核実験でもすれば、効果はもっと上がる。何しろ最貧国の指導者の門出を、世界中が注目してくれるからである。