女子アイスホッケーがソチ冬季オリンピック出場権を獲得した。驚くことに国内第一
号である。女子アイスホッケーの、国内実業団チームはない。
そうした中で、開催国枠のおまけで出場した長野以来である。前回前々回と、最終戦で敗退して出場権を得られなかった。悔しい思いをしてきた彼女たちである。今回の出場枠獲得は立派で、千歳空港の帰国会見のこぼれるような全員の笑顔が印象的である。
多くの選手は練習時間をねん出するために、正社員でなくパートでしのいでいる。今回ベストFWに選ばれた、久保英恵は前回敗退後いったん引退している。彼女は競技会場の事務員で、生計を立てて競技を優先させている。
今回は、最後の出場枠を争う、いわばマイナーの組の戦いである。信じられない逆転を初戦でしたが、延長でも決着がつかずゲームウイングショットでの惜敗である。最終戦は堂々の勝利であり、彼女たちらしい綱渡り的な勝利であった。ソチでは、今の勢いだとひょっとしたら、メダルに手が届くところまで行くかもしれない。
全くマイナーなスポーツであるから、やむを得ない面もあるが、日本スポーツ振興センターからの助成金は、僅か3400万円である。国内合宿や試合を減らして、海外遠征に充てる火の車の台所事情である。
メンバーの殆どが、苫小牧と釧路である。男子や高校生に交じって、練習や試合などさせてもらっている状況である。なでしこジャパンの、女子サッカーでも同じような経過を見ている。底辺の狭い北国限定のアイスホッケーとなれば、さらに社会的に恵まれてこなかった。
翻って、先ごろ問題になった柔道連盟は6億5000万円払われている。女子に限ってみても、3億1625万円である。女子アイスホッケーの10倍である。人数の多さや施設の程度など比較すると、ダントツにホッケーが費用が掛かる。
この際、不祥事を出したお詫びで、長年自費で取り組んできたホッケーの彼女たちのために、一部でも回してはどうかと思ったりする。
もう一つ気になったのが、2020年から外さる可能性が高くなった、レスリングである。JOCの幹部は「全く予測してこなかった」と、ぼけたようなコメントを出している。
要するに、懸命に競技する選手たちとは裏腹に、各連盟などの組織は無神経で、政治的アンテナさえ持っていないのである。結果のみを追い続けるあまり、体罰などこうした体質が醸成したものでないか。
スポーツ振興の国民的な思いをバックに、組織に甘えたJOCなどの官僚発想の意識を改革するのに良い機会である。