北海道に選挙講演に来て、民主党菅代表代行が農業団体に突っ込まれている。マニフェストで、FTA交渉を推進するとしていたのである。日米間のこととは記載されてはいるが、日本の農業者にとってはたまったものではない。
世界は自由の貿易を行うべきであるとする自由貿易の考え方が、今や世界のスタンダードのように巷間言われている。この根底になっている、ウルグアイラウンドが世界貿易の障壁をなくすべきと宣言したのが、1986年である。今から28年前のことである。
その間に、冷戦で社会主義国は崩壊し、残った更に唯一の世界大国のアメリカは翳りの中にある。世界の自然環境は悪化の一途をたどり、温暖化や食糧問題が大きくなることがあっても、途絶えることはない。激変した28年の間に、基本理念を変えることなく地域交渉FTAに引き継がれた。
自由貿易は、その恩恵を享受する先進国によって提案されたものである。とりわけアメリカが自らの国家利益のために持ち出した論理である。世界各国の大企業を潤すためにあらゆる論法を引き合いに出してきた。
とりわけ昨年に始まる金融危機は、実体経済を軽んじてきた結果の出来事である。マネーゲームの破綻である。金融資本主義、無制限な自由主義経済がもたらした結果である。実体経済の最たるものが農業である。
日本での報道はなぜこれほどまで小さいのか分からないが、WTOに世界各国の農民が反対している。大規模なデモや国際的な運動も間断なく行われている。反対するのは一般農民である。北海道の農民連盟は、FTA締結をマニフェストに盛り込んだ民主党に注文を突き付けた。
北海道の食料自給率は、200%である。菅代表代行は文言の訂正と約束したが、都会型の政党が理解したかどうか大いに疑問である。