そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

そりゃ豊作ビンボウだろう

2006-12-08 | TPP

かなり以前のことになるが、野菜つくりをやっている知人がいた。その年はかつてないほどの天候で、野菜は豊作であった。おかげで価格が暴落して大根が一本5円ほどにしかならない。大赤字である。せめて出荷費用を節約する意味で、畑にすき込む農家が沢山いた。

知人は、頭にきて4トン車に積めるだけの大根を積み込んで、大消費地である大阪の団地にいった。そこで、ただで配ったのである。集まってきた奥様方に、農家の現状を訴えたのである。

ところが、殆どの大根を処理した頃、夕方になって得体の知れない連中が数人現れて、ボコボコにされたのである。

大多数の農産物価格は、その時々の市場が決めている。多くの商品が、生産者が価格を決めて出荷されているのとは基本的に異なる。最近でこそ、農協などの介入や、生産者が付加価値をつけることで、生産者が価格を決めることもなくはないが、稀なことであるには変わりない。

農産物は、大いに天候に左右される。農民は、効率よく沢山の農産物を生産して、食料を国民に供給しようとするのである。穫れすぎたために、価格が暴落するのはまさしく市場経済そのものである。これでは、農民は不作あるいは少量の収穫でも、価格が高いほうが得なことになる。消費者にはありがたくないことである。

農産物=食料は人間が生命を維持するためになくてはならないものである。食料の質、量、価格を市場経済だけで決めてはならない。そこには、農民の汗もなければ食料の質=中身もない。食料を市場経済に委ねることは、人道的な意味からもやってはならないことである。

食料はなくてはならないものである。工業製品のように倍も売れることもなければ、半分にすることもできない。食料を自給することなく、余剰食料を廃棄するこの国の人たちは、10億の人が餓えている現実を実感していない。

おりしも、今年は夏の天候がよく、野菜が豊作であった。キャベツを畑でトラクターで圧し潰す様には胸が締め付けられる。どこかおかしい風景である。


こりゃ全面否定だろ

2006-12-07 | イラク

Photo_52 アメリカのヴェテラン議員10人による超党派の諮問機関「イラク研究グループ」が、提言をまとめブッシュ大統領に提出した。中身は79の処方箋となってはいるが、今までの政策の基本的な見直しとなっている。

「問題を解決する魔法の処方箋はない」あるいは「現政権の取り組みは成功していない」とかなり厳しいが、少し離れてみると当たり前の健全な考えと思える。

米軍撤退条件としているイラク治安部隊の育成が可能か?中東の民主化は可能か?イスラエル、パレスチナ、レバノンに全く目を向けてこなかったのは何故か?などの提言は的を得ていると言う前に、こんなことすら言われなければ気がつかないブッシュ政権の現状の方が問題だろう。

一番大きな提言は、ブッシュが悪の枢軸あるいは、テロとは交渉しないと対決をあらわにした結果、イランやシリアとは対話すらすることなかったことへの、痛烈な指摘である。これは、ブッシュ政権の基本政策の否定ではないだろうか。イランやシリアの協力なくして中東の現状打開などありえない。

解任されたラムズフェルド国防長官の後任のゲイツ氏は、あっさりと記者会見で、ブッシュBushs_sins_are_back_to_haunt_him_1政権のイラク政策の誤りを 認めてしまった。国連代表のボルトンも身を引くことになった。急速にブッシュの姿が小さくなってきた。


そりゃとりあえずだろ

2006-12-05 | TPP

小児科のお医者さんが、注射をする時に「痛くないからねぇー」と言うのは嘘である。Photo_54 痛いから断られると困るから、とりあえず嘘を言って目的を達成するのである。獣医は小児科に似ていると言われるが、獣医師はそんなことはしない。家畜がことが解らないからだけではない。嘘が通じないからである。

小心者の日本の政治家にはこの手の手法を用いる輩が少なくない。その典型が、「国家・国旗に関する法律」である。この法律は、平成11年8月に制定されたが、これは国家や国旗を国民に強要するものではないと、何度も小泉首相が説明をしていた。

ところが、東京都などでは卒業式などで、教師に強要してそれを守らない場合は処分している。とりあえず法律だけ通しておいて、やがて忘れ易いこの国の国民がほかのものに興味が移った時期に、法律の本質を露わにするのである。

教育に「愛国心」を盛り込みたい、お坊ちゃま首相は愛国心を評価しないととりあえず言ってはいるが、そんなもの信用できるわけない。やがて、国民が他の物に目が移る頃には、愛国心を教育の現場では評価することになる。A君は20点だが、B君は100点と評価されて、入試科目になるかも知れない。

North_korea_has_finally_moved_ahead_with_1 北朝鮮も、とりあえず核実験をしてみた。多分これから先は、この国が核を保有するには相当困難なことが起きると思うが、わが国の政治家と違って彼らには目的がある。とりあえずではあるが政治的には成功はしている。

やがて教員は試験を何年かごとに受けることになり。体制にそぐわない教師は排除されることになるようになる。とりあえずの法案が今審議されてはいる。


そりゃ格差国家だろ

2006-12-04 | 国際・政治

わが国は、いつの間にか富裕層と貧困層がより大きく開いた国になってしまった。最低生活を送っている人たちには、再チャレンジとかセフティーネットとかを、政治家は唱えるが、結局は格差が生じるシステムへの提言にはなってはいない。

弱者を切り捨てる、市場経済の過酷な現状はそのままで「もう一度やったら」などと、お坊ちゃまの首相は言うけれども、成功するには必ず切り捨てられる人たちがいるのである。勝者の論理しかもつことのない市場原理は、弱者へにはお恵み程度のことしか論理として持ち合わせてはいない。

Washington_sniffs_the_scent_of_defeat_1このような、市場原理は国家間ではもっと厳しく存在する。富める国から資本をいただき、貧しい国では資源を提供してその結果、国家間の格差が生じる。イラクに派兵された兵士たちの日当の金額はは、イラクなどの国民の月収とほぼ変わらない。

先進国の家畜は、コーンなどの穀物を多給されて、生産効率の向上に肥満と循環器生涯に悩んでいる。その一方で、地球上に10億ほどの貧困国家の人々が飢餓に喘いでいる現実がある。

国家間の格差は、わが国の格差の比ではない。健康な家畜の生産物は効果になるが、高い円で購入された安価な穀物を多給されて、病気寸前の家畜の生産物は市場原理を背景に安価な商品として市場を席巻している。

拙書参考下さい。

そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問うそりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)


そりゃ恥ずかしい返答さ

2006-12-01 | イラク

President_bush_and_iraqi_prime_minister_ ヨルダンで、アメリカのブッシュ大統領とイラクのマリキ首相が直接会談を行なった。なぜヨルダンなのか色々憶測されるが、イラクでは開かれないことだけははっきりしている。

ここで、多くの人に馴染みもない、アメリカの傀儡と揶揄されるイラクのノウル・アリ・マリキIraqi_prime_minister_nouri_almaliki 首相でさえ、治安維持に役立たないアメリカの撤退を要求する始末である。アメリカは、中間選挙の結果国内に厭戦気分が充満している。撤退はやりたし、面子は捨てられないジレンマのアメリカに比べて、わが国はなんと呑気な国家であることか。

衆議院議員の社民党の辻元清美氏が、「日本政府のイラク戦争についての見解に関する質問主意書」を提出した。

なんと情けないことに政府は、現在までのイラク派兵に関して、世界各国が当初の方針などを見直す中、この国は当初の派兵理由を何も変えてはいないとの回答である。

自衛隊の派兵は国益にかなったもので「石油資源」を挙げている。日本は石油がほしいから米英の軍事攻撃を支持し今後とも支援します。石油資源目当てだと言っている。イラクを民主化することも目的にあげているが、内戦状態になってすでに破綻していることを政府は知らないのであろうか。アメリカを追従するなら、ここらでイラク戦争の意義を確認する必要があろう。

なんとも情けない返答である。


羅臼港

春誓い羅臼港