私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

追撃者

2008-03-23 18:50:25 | 映画鑑賞
怖くて、怖くて凄く面白い映画だ。

連続殺人鬼を追撃する話だが、見ている者に連続殺人鬼は誰だか最初から分かっている。
この映画の面白いところは、追撃者が最初から追撃者ではなかったということだ。

元刑事の男。今は電話で女を手配する仕事をしている。何台もの携帯電話を使い、客からの依頼があれば嫌がる女さえも仕事に向かわせようとする。

事件が起こった晩もそうだった。風邪だからと嫌がる女を無理に仕事に向かわせた。「俺が家まで迎えにいくから。場所を言え」女がどこに住んでいるかも知らない。ただただ電話で女を手配するだけの男。そして以前、自分の手配した女が消えてしまっても心配もしない男。要するに決していい人ではないのだ。
しかしこの夜は違った。自分が無理を言って手配した女が帰ってこないと分かり、その女を何とかして救い出そうと携帯電話片手に夜の街に出かけていくのだ。

元刑事を演じているのがキム・ユンソク。
あの復活で元刑事の探偵を演じている俳優さんだ。
そして連続殺人鬼を演じているのが、ハ・ジョンウ。
題材が猟奇的で、画面もかなり猟奇的なのにも関わらず大ヒットなのは、皆キム・ユンソク演じる元刑事が、追撃者になっていく姿に、駄目な男が一夜の間に頼れる男になっていく姿に驚き、そして応援したくなるからだろう。
勿論ハ・ジョンウもただただ猟奇的な犯人を妙な笑顔で上手く演じていると思う。

***
ソウルの街角には日本のR25を思わせるM25というフリー雑誌がある。
その中にこの@追撃者についての記事があった。
ハリウッドでリメイクされる際にキム・ユンソクが演じた役をディカプリオが演じるということについて?などということが書かれていたのだが、その中に追撃者の疑問という短い文章も載っていた。

@映画の中に出てくる4885という番号はどんな番号なのか?
(この番号がどんな番号なのかは、映画を見ての楽しみかもしれないが・・・)
数字に特に意味はない。
監督の前の家の電話番号だというので、好奇心満々で映画に登場した番号に電話をかけたのだが、当然この番号は遣われていないという答えが流れるだけ。

@舞台はマンウォンドンだがこれは本当か?
(このマンウォンドンが事件の起こった場所として何度も出てくる)
実は郵便局の前の場面だけがマンウォンドンだ(郵便局が出てきたのは忘れてしまった)実際はピョンチャンドンやヤクスドンなどを回りながら5ヶ月撮影した。

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映画を見た後は、こんな短い文章を読んだだけでも「ふーんなるほど」と思う。
そんな風にマニア心を呼び起こす映画でもある。




宿命

2008-03-23 16:07:46 | ソン・スンホン(宋承憲)
カジノ襲撃の責任を取らされ、刑務所で2年間過ごすことになる組織の構成員ウミン(演 ソン・スンホン(宋承憲))
「チョルチュン(演 クォン・サンウ)よくやった」というボスの言葉を聞き、自分達がはめられたことを知るウミンだが、友人の裏切りはあまりにも唐突で突然やって来たのだ。

しかし若い自分達にその友人のあまりにも唐突な裏切りは、大きな傷を残す。
兄貴分は雲隠れし、ドワンは襲撃の際に受けた傷のせいなのか、すっかり麻薬中毒になって廃人同様だ。そして自分の恋人はボスの愛人になっていた。
組織の中ではよくあることだろうと、想像に難くない権力争いから転落した者の姿。

「2年間を返せ」という強い思いがあるわけでもない。復讐の鬼になったわけでもない。ただただ裏切られたその2年前に自分が居た場所にいったん戻るしかすべがないかのように、ウミンは、ドワンを、恋人だったウニョンを、そして裏切ったチョルチュンの元を訪れる。
罵声をあげ、殴り合いをしようとも、自分の進む道は決して見えてはこないのだ。

裏切ったチョルチュンも、ただただ大声を上げ、自分より弱い部下に威張るだけの普通のチンピラとしか思えない。
ここには書けないような汚い言葉が次々と口から出てくるが、そこには何か深い考えがあるわけでもない。@愛すべき暴力バカとでも言ったらいいのか。

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ソン・スンホン(宋承憲)、クォン・サンウ、そしてドワンを演じるキム・イングォンと誰もが120%とも思える振り切った演技だ。
特に汚い言葉連発のクォン・サンウの振り切れ方が凄い。
(あまりに汚い言葉連発で、正直何を言っているのかちっとも分からなかった・・・)

唯一120%でないのが、特別友情出演のチソンなのだが、彼の役柄が非常に印象的なのだ。
どこに行くのか分からない、このままじゃだめだと分かっていても、自分ではどうすることも出来ない他の登場人物と違い、彼の役柄だけは自分のやることをはっきり分かっている。組織の中に必ずいるであろう頭のいい人間の役を、一人冷静な感じで演じている。
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ソン・スンホン(宋承憲)が復帰作にこの映画を選んだというのは、やっぱり挑戦だったと思う。
ドラマだったら絶対に出来ない役柄だし、あれだけのアクションも若いからこなせたのだろう。ノワール物が好きな私にとっては、アクションをするソン・スンホン(宋承憲)を見られたことは、とてもうれしいことだった。
ただ宿命というタイトルの割には、主演の二人があまりにも若いのが気になる。宿命という言葉を使うのには、10年早かったような気がするのだが・・・

韓国で買ったムービーウィークの319号には@非情な街のほろ苦い寓話というタイトルのプレビューが掲載されていた。
上手い言い方だなと思う。本当にそういう映画だった。