私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

暴力団

2011-11-12 21:03:11 | たまに読んだ本
日本の暴力団は若者にとって魅力がない団体となった。金も稼げない。理不尽な縦社会に我慢できない若者は暴力団に行かずに半グレ集団となる。

ここでも高齢化がと思ったりするが、若手が入らない暴力団は、確実に高齢化の道を進み、シノギは激減。売上が減れば弱体化が進む。
半グレ集団は、暴走族時代の気楽な先輩後輩の関係を保ちつつ、口に自信があれば、振り込め詐欺、体力に自信があれば産廃の運搬、女性が好きなら芸能プロダクションや出会い系サイトへ。
時代の流れをつかみつつ、確実にお金の流れのあるところで、売り上げを作る。
若い→現代の金の流れに敏感→売上があがる→力が集まる・・・・
今、なぜ暴力団なのか?ということよりも、今進みつつある道ということで、暴力団から半グレ集団への流れの記述が私には分かり易く、興味深い部分だった。

また、香港ノワール好きとしては、香港マフィアと暴力団の対比も興味深いところだった。

香港マフィアは金のためにマフィアになる。正業が波にのり金がたまれば簡単に足を洗う。
金になる流れがある香港マフィアの世界では低年齢化が進み、日本の高齢化とは全く逆だというのだ。
そして金と女の件で問題がなければ、簡単にやめられることが出来るの香港の組織犯罪集団と、組を抜けたものは裏切り者とみなし、びた一文残らないほどむしり取ろうとするのが日本の暴力団。

確かに香港ノワールのトラブルの発端は、金と女の問題が解決しないで逃げるパターンが基本だ。それが全部と言ってもいいかもしれない。
ただ、金がたまれば足を洗って正業に専念という場面をほとんど見ないのは、それでは映画として面白くないからだろう。

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暴力団の高齢化が、犯罪のデパート型から犯罪の専門店化につながり、犯罪社会のスタイルが世界のスタンダードである姿に移っていくという、今のこの時代にあった話の流れが面白かった。
ここ暴力の社会でも、国際標準の波に乗らないわけにはいかないらしい。


暴力団 (新潮新書)
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