辞めたアルバイト女性ががクレーマーになり、成り行き上、彼女の対応窓口になった社内報編集部の男性。
それと時を同じくして起こる青酸カリを使った連続殺人事件。
穏やかではあるがどこか几帳面で探究熱心な妻と、幼稚園に通う可愛い娘と暮らす男性は、クレーマー対応をしている最中になぜか青酸カリの事件にもかかわることとなる。
殺人事件の捜査らしきことにも関わる彼と、静かに彼の私生活に入り込んでくるクレーマー。
男性の家族は金銭面でも困ることなく、他人から見たら非常に平和で幸せな家族だ。
もちろん彼らなりの問題はあるものの、世間一般からみたらその悩みは深刻というより、生きていれば一つや二つはあるちょっとした問題にしか思えない。
探偵役がそのような境遇故、読んでいる人には今一つ現実味(いや親近感だろうか)が薄いかもしれない。
しかし探偵役である男性を、大きな使命を負った狂言回しと思いながら読んだ私には、彼と家族の現実味があまりない存在は逆に読んでいく上では邪魔にならずによかった。
彼の存在よりも、「今のこの世の中でふつうとはなんなのか?」「毒はなんなのか?毒はいつでも毒なのか?」ということの方が問題なのだから。
やや唐突に思える土壌汚染の問題も、救済すべき者が実は一番の加害者なのでは?という疑問を投げかけるにはいい例だったとも思える。
それと時を同じくして起こる青酸カリを使った連続殺人事件。
穏やかではあるがどこか几帳面で探究熱心な妻と、幼稚園に通う可愛い娘と暮らす男性は、クレーマー対応をしている最中になぜか青酸カリの事件にもかかわることとなる。
殺人事件の捜査らしきことにも関わる彼と、静かに彼の私生活に入り込んでくるクレーマー。
男性の家族は金銭面でも困ることなく、他人から見たら非常に平和で幸せな家族だ。
もちろん彼らなりの問題はあるものの、世間一般からみたらその悩みは深刻というより、生きていれば一つや二つはあるちょっとした問題にしか思えない。
探偵役がそのような境遇故、読んでいる人には今一つ現実味(いや親近感だろうか)が薄いかもしれない。
しかし探偵役である男性を、大きな使命を負った狂言回しと思いながら読んだ私には、彼と家族の現実味があまりない存在は逆に読んでいく上では邪魔にならずによかった。
彼の存在よりも、「今のこの世の中でふつうとはなんなのか?」「毒はなんなのか?毒はいつでも毒なのか?」ということの方が問題なのだから。
やや唐突に思える土壌汚染の問題も、救済すべき者が実は一番の加害者なのでは?という疑問を投げかけるにはいい例だったとも思える。
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