私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

タクシー運転手 ~約束は海を越えて~

2018-04-22 18:56:53 | 映画鑑賞

韓国の光州の市民デモを軍部が弾圧しているらしいという話を聞いたドイツ人ジャーナリストは、駐在していた日本から韓国に向かう。金浦空港で入国する際には宣教師と身分を偽り、光州までの足がないと知ると、タクシーをチャーターして光州に向かおうとする。(金浦空港の英文表記がGimpoでなくKimpoなのが時代を感じさせる・・・)

家賃を何か月も滞納するほど日々の暮らしに困っていたタクシー運転手は、一人娘の世話を大家家族に頼み、往復10万ウォンという報酬だけのために軽い気持ちで光州までドイツ人ジャーナリストを送り届けようとする。

ソウルでも毎日のように行われている学生デモのための道路混雑に「デモより勉強をしろ!」と悪態をついていたタクシー運転手。目に見えない民主主義よりも、毎日の稼ぎと娘との生活の方が何倍も彼には大事なのだ。光州へ行くために嘘をついて検問を突破したのも、10万ウォンのためでしかない。デモ隊と軍部の衝突にカメラを向けるドイツ人ジャーナリストの行動にも尻込みをしていた運転手。

しかし、世間話を交わした光州の人たちが軍部の銃弾で道に倒れている姿を見て、彼らを自分のタクシーで病院に送り届けようとする。更には撮影したフィルムを持って光州をようとするジャーナリストを金浦空港まで送り届けようとする。運転手とジャーナリストが光州にたどり着いた時にはすでに光州は混乱状態だった。「民主主義は・・」などと考える暇もない。議論を交わすこともない。ただ、武器を持たずにデモに参加している市民に軍部は銃を向けていた。倒れる市民を助けようとする人にまで軍部が銃を向けていた。

ジャーナリストのプライドとタクシー運転手のプライドを結び付けたのは、目の前の大きな現実だったのだろう。

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この映画が外から見た光州事件なら、光州事件を中から見た映画が光州5.18だ。

 

 

 

 

 

 

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