「そういう時は、【悔しい】という単語を使って話すと自然な韓国語になります」
「悔しい」という意味の単語「オグラダ」を覚えたのは、韓国語を学びだしていくらもしないうちだったと思う。
当時は、Yさんから毎週土曜日の朝に1時間のレッスンを受けており、そのレッスン場としているスタバに自宅からバスで15分程かけて通っていた。
土曜日の午前中だったので、いつもは道も殆ど混んでいなかったのだが、その日はいつもより早く家を出たにも関わらず、なぜだか道が混んでおり、結局レッスン開始に5分ほど遅刻してしまったのだ。
「せっかく早く出たのに、道が混んでいて・・・ホントに酷いですよね~」と日本語で話した後、韓国語で言い換えようとしている私に、「そういう時は、【悔しい】という単語を使って話すと自然な韓国語になります」と教えてくれたのだ。
「せっかく早く家を出たのに、道が混んでいて結局遅刻してしまい、とても悔しい」
道が混んでいただけなのに、ちょっと大げさだな・・・と思いながら、「悔しい」という単語を覚えたのだった・・・
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確かに、韓国ドラマを見ていると、この「悔しい」という単語は本当に良く出てくる。
例えば、男性社員だけ優遇されているのを見た女子社員達が「私達も同じようにがんばっているのに悔しい・・」と愚痴を言いあったり・・・
例えば、上司にセクハラを受けたのに、「君から、誘ったんじゃないのか?」と濡れ衣を着せられた女子社員が涙ながらに「悔しい」と叫んだり・・・
日本だったら「こんなの酷くない?」という言葉で状況だけを言い表し、誰が誰に対して何をしたのか、それをされて誰がどんな気持ちになったのかをぼやかして言うケースが多いと思う。しかしそこを、「酷い」などとあやふやな表現を使うことなく、感情をストレート言い表す事が多いため、何かあると「悔しい」と叫んだり、涙ぐんだりする場面が多くなるのだろう・・・
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韓国のフェミニズムは盛り上がっているのに、なぜ日本は盛り上がってないの?って言われる件
というネット記事を読みながら、「悔しい」状況を「酷い」と言い表す事が多い日本語の言い回しにも、何か関係あるんじゃないだろうか・・・と思ったりする。
個人的には、悔しいという感情を表す言葉をわざと遣わないことで、傷つかないように自己防衛しているんじゃないかと思ったりもするのだが・・・
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82年生まれ、キム・ジヨン (単行本) | |
斎藤 真理子 | |
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