BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

絶対ナル孤独者 第5巻 ― 液化者 The Liqudizer ― 感想

2019-06-24 11:17:55 | SAO/AW
前巻の刊行が2017年5月! 
ここで書いた感想が2017年8月!
見事に2年ぶりの刊行。
正直、物語を思い出せるかどうか、不安だったのだけど。。。
ともあれ、スペース、空けときます。










































さすがに前巻、忘れてるわ―、というのに対しては、意外と、冒頭で、うまい具合に、ミノル、ユミコ、オリヴィエの三人による勉強会の中で説明されていて、それほど苦労はしなかった。

あー、なんか、スティンガーとかいう第3勢力が乱入してきて、そういえばトランサーというイキったガキが捕まってたなぁ―、というのを思い出した。
そして、今回の話は、とりあえず、それを思い出せば十分だった。

というか、スティンガーのリキダイザーによる救出作戦が本巻の柱なので。

で、なぜか、そこにミノルたちも合流して共闘することになった。
理由は、オリヴィエの妹のクレア=スターゲイザーの匿われている場所の情報との交換条件を、リキダイザーが提案してきたから。

・・・ってここまで書いてきて思うけど、やっぱり、この「リキダイザー」とか「スティンガー」とかの二つ名、うざいな。
これだけ登場人物が増えてきたら、さすがに普通の名前にしてくれー、と思うかな。敵サイドにしても。
いや、一応、〈特課〉からみたら未確認の謎めいた存在、ということなんだろうけどね。。。

てかさ、今回、途中まで読んで、あー、またこれかー、と思ったのは、ホント、川原礫って人は、物語の構成の引き出しが、恐ろしく貧しい人だね。
てか、事実上、ワンパタンしかない。

だって、とうとう、ミノルの同級生たちまで前面に出してきちゃってさ。
もう、ミノルが、容姿がまともなハルユキにしかみえなくなってきたんだよね。

もともと、この「孤独者」が面白いな―、と思ったのは、ミノルがガチの世捨て人体質で、もうこんな世界にいるのは嫌だ、と思っていたところで、偶然にもルビーアイの力を得て、〈特課〉に引き込まれていった、その部分だったわけで。
つまり、一種の闇落ちしたダークヒーロー的魅力があったのだけど。初期のバイターのような、突然日常に襲いかかる不気味な厄災、というニュアンスも含めて。

なんていうのかな、そういう怪奇譚的ニュアンスが、今回、すっかり消えてしまって、なんていうか、SAOやアクセルワールドの焼き直しにしか見えない感じになってきて、思い切りガッカリしたんだよね。

正直、さいたまと東京都心との行き来すら、時間のロスがあって鬱陶しいなぁ、と思っていたくらいで、とっととバイクの免許を取るか、でなければ、都心に転校しろよ、と思っていたくらいで。
いや、まぁ、主人公のミノルが現場に駆けつけるのが常に遅くなる、という設定自体は、ヒーローものとしてのカタルシスを考えたら、実はそれほど悪くはないのだけど。

ところが、なんか、本巻になってミノルが普通に高校生活を送って、やれ試験だなんだかんだ、という話が差し込まれると、それって、いままでSAOやAWで散々っぱら経験させられた「物語の引き延ばし」工作にしか使われないことがもう想像できてしまうので。

ホント、AWの焼き直しで
ミノル → ハルユキ
ミノルの高校 → ハルユキの高校
都心の戦い → 加速世界
都心への空間的移動 → ログイン

という構図で、ついでにいえば、
ユミコ → ニコ
リキダイザー → フウコ
オリヴィエ → タク
イサリリ → メイデン
箕輪 → チユ

って感じだよね。
そういう意味では、スウだけ、ちょっと他にいない感じなので、彼女には頑張って欲しいのだけど。。。
一応、死地から戻ってきたので大丈夫だとは思うのだけど。

ともあれ、せっかく、スティンガーの襲来や、それがどうやら厚労省傘下の〈特課〉が気に入らない他官庁の横槍っぽい感じとか、物語の幹のほうにそれっぽい仕掛けをしてきたのだから、お話としてはそちらで邁進してほしいんだけどな。

だって、この刊行ペースで、次回はミノルの高校のどうでもいい、「僕が学年で一番を取りたかったんだよ!」ってな話を聞かされても、本編の進行に全然関係ないじゃん。

せめて、AWを完結させてから、そういうAWの設定の焼き直しをしてほしいところだけど。

ということで、今回のお話は、あーあ、せっかく「孤独者」、面白くなるかな、と思って期待していたのだけど、結局、AWの二番煎じになるのかな、とほんと、ガッカリしたから。

てかさ、ミノルの学園生活そのものに不穏な空気が漂う、って展開、まんま、AWの胸糞・能美=ダスク・テイカー編なんだけど。

要は、波佐間ってのが、能美ポジなわけでしょ。
実行犯は、最後に出てきた女子なんだろうけど、その子がメンヘルで波佐間ってのが、能美のようにドヤ顔でイキりながら、メンヘル女子を気持ち悪いセリフで操るわけでしょ。
川原礫お得意の下衆キャラとして。

はーあ。正直、そういうの、もういいよ~、って思うかな。

結局のところ、こういう毎度おなじみの展開に落ち着いていくのは、担当の三木って編集者が独立して、自分も食っていかなきゃいけないから、自分が担当して作家を可能な限り、絞り出せるように使っているからなんだろうな、と思うよ。

だって、今どきは、「なろう」の結果、異世界転生なんて当たり前になっているわけだから、ミノルについても、もう学校なんか事実上捨てて、〈特課〉の任務に没頭するって展開でも全然いいはずなんだよ。

仮にその結果、今の高校を留年したり放校されたりしても、〈特課〉のスポンサーが政府機関の中枢なんだから、転校なり再入学なりも簡単なはずでしょ。

だから、ミノルの今の高校生活の描写なんて、箕輪とランニングするくらいで十分なはずだったわけで。

そういう展開に振り切れないのが、完全に弱点だよね。

で、なんか話がずれちゃったけど、今回の話は、高校編を除けば、面白いとは思う。原宿や代々木公園の描写も良かったし。

しかし、なんでこんなに港区描写が多いのか、と思ったけど、それ、川原礫が青学出身だから、というのを聞いて納得。あーあ、だから南青山なのね、と。ある意味、地元じゃないかwと。

ともあれ、当初あった、〈特課〉vs〈組織〉や、ルビーアイvsジェットアイ、という対立構図もずいぶんと曖昧になってしまったので、そうなるとこの先、こうした単純な対立構図を越えて、たとえばミノルとリキダイザーが共闘し、場合によったら独自の活動ユニットを作っていく天下になるのかどうか、というのは気になる。


その場合、物語の柱は、なぜサードアイが飛来したのか、その目的は何か、というところに移るのだろうけど。

ただ、その展開もまた、AWにおける「帝城」のような存在になってしまうので、永遠に終わらない話になる可能性は高い。
というか、引き延ばしが自在にできる設定だよね。

せっかく、孤立者、は、わりと川原礫の新基軸だと思って期待していたのだけど、今回ので、あー、これも、もうどうでもいいかもなー、と半分くらいは思っている。

その意味では、次の6巻が、半年後くらいに出てきたら見直すくらいかな。
刊行が最低でも年に2回なら、学校生活編のような寄り道も許せるけど、それが今回みたいに間に2年も空くようなら、さすがに容認出来ないかな。

あと、またぞろミノル・ハーレム化は、やめてくれ。
さすがに、時代遅れだよ。

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